美術館について

美術館評価制度

横須賀美術館評価委員会(平成28年度第1回)

日時:平成28年(2016年)7月14日(木)14時~16時 
場所:横須賀美術館 ワークショップ室

1 出席者
   委員会 委員長    小林 照夫  関東学院大学名誉教授
       委員(委員長職務代理者)
              菊池 匡文 横須賀商工会議所専務理事
       委員     柏木 智雄 横浜美術館副館長
       委員     樺澤  洋 市民委員
       委員     木下 美穂 市民委員
       委員     草川 晴夫 観音崎京急ホテル取締役社長

   館長  教育総務部長        大川原 日出夫
   事務局 美術館運営課長       佐々木 暢行
       美術館運営課広報係長    相良 泉
       美術館運営課管理運営係長  上野 誠
       美術館運営課(管理運営係) 蛯原 敬士
       美術館運営課(学芸員主査) 工藤 香澄
       美術館運営課(学芸員)   沓沢 耕介

  欠席者  委員      河原 政子 横須賀市立小原台小学校校長

2.議事
      (1)平成27年度の評価について
      (2)平成28年度の事業計画書について
       その他
      

3.会議録

【開会】


〔事務局・上野〕:定刻になりましたので、「平成28年度 横須賀美術館運営評価委員会 第1回」を開会いたします。開会にあたりまして、横須賀美術館館長事務取扱、教育総務部長 大川原より、ごあいさつさせて頂きます。


〔事務局・大川原〕:教育総務部長、横須賀美術館長の大川原でございます。本日は、ご多忙の中、平成28年度 横須賀美術館運営評価委員会 第1回にご出席たまわり、誠にありがとうございます。 また、本日の会議開催にあたり、委員の皆様には、お忙しい中、短期間で27年度事業に対する二次評価を行っていただき、重ねてお礼申し上げます。 本日、皆様に二次評価のご議論をいただき、27年度の評価が確定いたします。皆様のご意見のひとつひとつを、今後の運営に生かし、美術館の目標でもある、「市民に親しまれる・愛される美術館」を目指し引き続き努力してまいります。平成28年度事業計画につきましても、これまで委員のみなさまからいただきました貴重なご意見を加味させていただきまして作成しております。この事業計画につきましても、忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。


〔事務局・上野〕:ここで少しお時間をいただきまして、事務局職員の異動がありましたので、紹介をさせていただきます。市の人事異動により前広報係長の栗野が地域安全課へ異動いたしました。新たに広報係長として異動してまいりました、相良です。


〔事務局・相良〕:市議会事務局総務課から異動してまいりました相良と申します。どうぞよろしくお願いいたします。


〔事務局・上野〕:次に、昨年度、当委員会の事務局担当をしておりました秋山に替わり、今年度から担当させていただく、蛯原です。


〔事務局・蛯原〕:管理運営係の蛯原です。よろしくお願いいたします。


〔事務局・上野〕:それでは、進行を進めさせていただきます。本日は、河原委員より欠席の連絡をいただいております。 次に、本日は傍聴の方が1名いらしております。それでは、資料の確認をさせていただきます。


-(資料確認・略)-


以上が本日の資料でございます。不備等ございませんでしょうか。
それでは、小林委員長、議事の進行をお願いいたします。


【議事(1)平成27年度の評価について】


〔小林委員長〕:それでは、次第に沿って、議事を進めます。議事(1)「平成27年度の評価」
について、事務局から評価の進め方、報告書の体裁等について説明をお願いします。


〔事務局・佐々木〕:それでは、資料1「平成27年度 評価報告書(二次評価まとめ)」ですが、皆様からお送りいただきました二次評価の結果を事務局でまとめさせていただいたものでございます。  この資料をもとに、のちほどご議論をいただきたいと考えます。  ご承知のとおり、①から⑧の目標があり、それぞれに「達成目標」と「実施目標」があり、16の評価項目となっております。  次に、二次評価確定の進め方について、ご提案させていただきます。 事務局からは、最初に①の目標について、一次評価及び委員からいただいた二次評価の説明を簡潔に行います。 委員の皆様には、委員会としての二次評価についてご議論いただき、評価を確定していただきます。以降、順次目標ごとに繰り返し、進めていきたいと考えます。 それから、評価報告書の体裁ですが、昨年どおり、コメントは同様のご意見を1つにまとめ、すべて掲載をしたいと考えます。  よろしければ、いままで通り、コメントのうしろにカッコ書きで記名をさせていただきたいと考えております。  以上でございます。


〔小林委員長〕:では、進め方、評価報告書の体裁についてですが、よろしいでしょうか。
それでは、まず目標①から、事務局は説明をお願いします。


〔事務局・相良〕: それでは、資料1「評価報告書 二次評価まとめ」及び、「評価報告書 一次評価」に基づき、目標ごとにご説明申し上げます。評価報告書(一次評価)の1頁をご覧ください。 私からは、「Ⅰ美術を通じた交流を促進する」のうち、「①広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる」の一次評価について、ご説明させていただきます。 まず、平成27年度は、達成目標の年間観覧者数100,000人に対し、実績は、114,861人となりました。達成率114%と大幅に目標を上回ったことから、「S」評価といたしました。 目標を上回った最大の要因は、次頁の表をご覧頂きますとお分かりになりますようにゴールデンウイーク期間中に開催した企画展「ほっこり美術館」の観覧者数が、達成率145%と、見込みを大きく上回ったことだと思われます。  また一方で、「浮世絵にみるモダン横須賀&神奈川」につきましては観覧者数見込みの達成率67%と見込みが甘かったことは否めませんが、アンケート結果では満足度が非常に高く、また横須賀製鉄所創設150周年記念事業として行われたという点からも開催意義の高い展覧会であったと考えています。今後は開催時期や会期日数などを良く考慮して、各展覧会の観覧者見込みを算定するようにいたします。
次に、2頁をお開きください。 実施目標の「様々な広報媒体の特性を生かして、効果的な広報活動を実施し、交流を促進する」ほか4件ですが、1次評価としましては、各目標についての評価を総合して検討した結果、無料での情報掲載数、ツイッターのフォロワー数、商業撮影の件数等が目標を上回ったことから「A」評価としました。 なお個々の実施目標の結果状況についてはこれから順にご説明いたします。
3頁をお開きください。 実施目標の1番目「様々な広報媒体の特性を生かして、効果的な広報活動を実施し、交流を促進する」については、(1)訴求活動による集客促進をご覧ください。 3頁の表に記載のとおり新聞雑誌等への無料での情報掲載は前年度に比べ件数は減少していますが、各媒体の合計は目標の220件を達成しました。またツイッターのフォロワー数は約4,000人で昨年度に比べ1,700人の増と順調に伸びている状況にあり、今後もフェイスブックも含めSNSの特性を生かした情報発信に努めていきたいと思っております。
4頁をお開きください。 実施目標の2番目「各種イベントを開催し、展覧会以外の要因での利用を増やす」については、(2)イベント開催など展覧会以外の要因で利用者を増やす取り組みの推進をご覧ください。 新規の企画も含め記載のとおりのイベントを行い、それぞれ多くの方のご参加をいただきました。また年間パスポートや前売券の販売状況は表に記載されているとおりです。
実施目標の3番目「外部連携を推進し、様々な機会と場所を捉えて、美術館の情報を発信する」については、(3)外部連携の推進をご覧ください。 記載のとおりカレーフェスティバルなどのイベントへの協賛、観音崎フェスタへのブース出展、町内清掃などの地域活動への参加など、他部局や民間事業者、また近隣地域との連携などを積極的に進めてまいりました。
実施目標の4番目「旅行会社などへの働きかけを通じて、団体集客を促進する」については、(4)団体集客の推進をご覧ください。 クラブツーリズムと小田急トラベルが主催する募集型企画旅行が相次いで終了したことにより大幅の減がありましたが、一方で企業、町内会、介護施設、学校といった受注型企画旅行の増加もあり、団体観覧者全体としては例年とほぼ変わらない団体観覧者数となりました。受注型企画旅行の件数の増加につきましては、着実に横須賀美術館の名前が認知されてきていることの表れであると考えています。
最後に実施目標の5番目「商業撮影の受入と誘致を推進し、美術館のイメージアップを図る」については、(5)商業撮影の受入と誘致をご覧ください。 イメージアップと認知度の向上を目的とした商業撮影は、過去最多となった昨年には及びませんが、例年並み以上と言える数字で、目標としていた30件を上回っております。テレビCMやプロモーションビデオの撮影など美術館の宣伝効果につながる撮影も多数あり、時間外での撮影立会いなど事業者のニーズに合わせた対応が効果として数字に表れていると感じています。 私からの説明は以上です。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。今のご説明に対して委員のみなさまからのご質問はいかがでしょうか。委員のみなさまが達成目標の二次評価で「S」と評価しておりますので、二次評価を「S」ということでよろしいでしょうか。  実施目標の二次評価は、委員のみなさまが一次評価と同じく「A」と評価しておりますので、「A」ということでよろしいでしょうか。何かございますか。


〔菊池委員〕:達成目標と実施目標は相いれるもので、実施目標に向かってやる結果が達成目標につながるものだと思います。昨年に比べて来館者数は2,500人ほど減っていますが、観覧者数は1,800人ほど増えています。有料で来られた方が14%ほど増えているということは、こういった実施目標の成果が表れているのではないかと感じています。
ただ、実施目標の評価が「A」ということで、私は、達成目標が「S」であれば実施目標も「S」にしてよいと考えております。ただ、評価項目としては分かれていますので、私は「S」に近い、努力の報われた「A」と思っております。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。今、菊池委員からお話がありまして、そのような考え方も成立すると思います。他の委員のみなさまは何かございますか。


〔草川委員〕:今、菊池委員がおっしゃられたことは当然だと思います。実施目標に向かってやったことが達成目標につながっていく。達成目標が「S」であれば実施目標も「S」だと思います。ただ、その中でやれなかった部分や問題点があったということで実施目標は「A」という評価にさせていただきました。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。いかがでしょうか。


〔菊池委員〕:観覧者数でいくと、初年度、開館当初は開館需要というものがあって165,000人です。それを除くと、27年度の観覧者数は今までで一番良い。いろいろな形でみなさまの努力が報われているのではないか思います。


〔小林委員長〕:分かりました。今、菊池委員からお話があったように「S」と「A」の区別という問題もありますが、他の委員からは特にご指摘もありませんので、一次評価と同じく「A」とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、次に②についてよろしくお願いします。


〔事務局・沓沢〕:一次評価書の6頁をご覧ください。
【② 市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる。】について、説明いたします。 達成目標は、「市民ボランティア協働事業への参加者数延べ2,000人」です。27年度の延べ参加者数は2,207人となり、目標を上回りましたので、一次評価を「A」といたしました。ただし、ギャラリートークボランティア、小学生美術鑑賞会ボランティア、みんなのアトリエボランティアにつきましては、参加者数が減少傾向にあるなど、課題もあります。 実施目標は、
・市民が美術館に親しみを感じ、訪れる機会をつくる。
・市民ボランティアが、やりがいをもっていきいきと活動できる場を提供する。 の2点です。一次評価は「A」といたしました。 プロジェクトボランティアが発案し運営するイベントは、地域の行事として定着しており、近隣の方を中心に多くの方が参加しています。この活動については、企画段階から参加するボランティアが近年増えており、その世代も多様化しています。 ギャラリートークボランティア、小学生美術鑑賞会ボランティアでは、それぞれ研修を行い、自信とやりがいを持って活動できるようにしています。 ②についての説明は以上です。


〔小林委員長〕:ありがとうございました。なにか今の説明に関しましてご質問はございますか。まず、この達成目標につきましては、一次評価と同じように、委員のみなさんが、「A」となっております。全体的にここで、ご質問がなければ、二次評価についても「A」としたいと思いますがいかがですか。よろしいですか。 実施目標について、柏木委員の評価では「S」となっていまして、いくつかの記載事項があるのですが、このあたりについてご説明いただきたいと思います。


〔柏木委員〕:一次評価でなされたその理由分析の全体としてのところで、ボランティアの方々の希望や要望に応じて、活動内容とか募集方法を見直す、あるいは活動の目的を明確にするといったことをなされて、そういう取り組みをされているということで、それが目標数値を数値的に上回る結果を生んでいるということですので、取り組みの姿勢としては「S」でいいのかと私は考えました。もちろん、みなさまの評価、「A」が悪いとかではございません。「A」でよろしいかと思います。


〔小林委員長〕:木下委員も記載事項がございますので、ひとつご説明をお願いします。


〔木下委員〕:私ボランティアとしての立場から言わせてもらいますと、やはり今、非常に幅広い年齢の方が参加されていて、たいへん活動が活発になっています。本心でいえば、柏木委員のように、「S」をつけたいところです。
その要因としましては、美術館の担当の方が本当によく動いていただいていて、それがあってのボランティアという形をぜひ一言付け加えたくて、こちらに記載させていただきました。以上です。


〔小林委員長〕:そのようなこと考えると、むしろ気持ちとしては「S」だと思うのですね。


〔木下委員〕:「S」です。本心を言えば、そうなのですが、これからもう少し伸びる余地があるのかな、と考えると、「A」でいいと思います。


〔小林委員長〕:そうですか。いかがですか、みなさま。足してどうなる、というわけにはいかないので、前向きな点があり、そのこと自体が説得力をもつと、評価の仕方も変わってくるかと思います。


〔菊池委員〕:柏木委員、木下委員と私も同じで、柏木委員からはいつも、ボランティアの関係では、この規模でこのマンパワーでいくと限界に近いくらい活動されているというのが毎年コメントとしてあって、私も本当に一生懸命やられているなと思っています。その中で、精度を上げようとして努力をされているのだなと思っています。
ここの部分も先ほどとまた同じなのですが、では「S」になる基準というのは何か、そういうものがないと、恐らく「S」になっていかないというのはあるので。 評価の部分でも、数値的な部分だけでは見られないので、この2,000人というのが1つの評価の基準となるのであれば、おそらく、ボランティアの方々を、先ほど木下委員がおっしゃったように、美術館のスタッフがマネジメントしなくてはいけないので、マネジメントできる範囲を超えてしまうと、結局、制御が効かなくなるという状況なので。とはいえ、スタッフを増やすことができないというのであれば、そこでもう決まってしまうわけですよね。
そのなかで、きちっと中身の精度を上げる、ということで、徐々に「S」というものがどういう性質のものなのか、ということをもう少し明確にしていただけたらと思います。逆にアピールをしていただけると、評価しやすいと思います。 ここに6頁の、一次評価の項目の2段目に、ただし課題もあります、ということで、8頁の[一次評価の理由]の中にも、いろんな課題がちりばめられているのですが、逆にこの「課題があります。」とあえて但し書きをした部分というのは、そこは何なのか、参考までには聞いておきたいですね。


〔小林委員長〕:そのあたりについていかがですか。


〔事務局・沓沢〕:2頁の一次評価の下段のところで、課題もあるということですね。ここは、数値について評価しているところでございますので、口頭でも申し上げたのですが、プロジェクトボランティアの活動が活発になって、参加者も多くなっているので、全体としては参加者数が増える傾向にございますけれども、その一方で、ギャラリートークボランティアですとか、小学生美術鑑賞会ボランティア、みんなのアトリエボランティアではやや減っているというところに課題意識を持っているということです。 これは、あまり気軽に担い手になれないような部分もあります。やはり、美術館のスタッフとしてお客さんを受け入れるというためには、ある程度の研修やご自分の努力というのが必要になってまいりますので、そういう意味で、担い手もなかなか集まりにくい、育てるのも大変ということがあって、その点については今後ともさらに募集も続けてまいりたいと考えております。


〔菊池委員〕:そこの部分は、先ほど言ったマネジメントの部分としてね、それが限界なのか、それともまだ余裕があってそういう有能な方が来ていただければもっとお客さんも来ていただいて構わない、ということですか。そのあたりいかがですか。スタッフ側のほうとして、受け入れる側として余裕はありますか。


〔事務局・沓沢〕:ボランティアを受け入れる側、ということですか。ギャラリートークボランティアや小学生美術鑑賞会ボランティアの育成に関しましては、学芸スタッフ一同が分担してやっておりますので、余裕がないということはないです。
ここに書いておりますのは、担い手の方が多少高齢化しているということとギャラリートークに関しては、参加者、それを聞いてくださる方の数が読めない状況がありますので、こちらからはいかんともしがたい部分がございます。
それは、日曜日ごとにギャラリートークをやっているということの周知をはかっていく、ということだと思うのですけれども。実際にはこちらで準備していたのにご参加がなかったというような日もございます。


〔菊池委員〕:わかりました。


〔小林委員長〕:よろしいですか。どうぞ、いただいた資料をそれぞれ読んで、それぞれの委員の方、二次評価という形でしてくださったのだと思います。しかし、今日こうして議論していく中で、そういう読み方もあったのかということで、「A」が「S」に変わっても一向に差支えございませんし、逆に「A」が「B」になっても、一向に差支えありませんので、もしご意見があったらぜひお出し願いたい。ご遠慮なくどうぞ。今のお話でよろしいですか。
では私の提案としては、菊地委員がおっしゃった「S」に近いような「A」ですとか、木下委員もそのようなご意見があるのですが、全体的に特に評価された点について、「A」でよいのかなという気持ちもしますので、一次評価と同じように二次評価を「A」とにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。


〔小林委員長〕:それでは③の説明をお願いいたします。


〔事務局・工藤〕:「Ⅱ美術に対する理解と親しみを深める」の③「調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす」についてご説明いたします。達成目標は「企画展の満足度80%以上」と定めました。平成27年度の満足度の総合的な数値は87%でした。こうしたことから、1次評価を「A」とつけました。また、要素別に満足度を検討すると、「解説・順路」については、改善の余地がある高くない数値となっています。アンケートでも、「キャプションの漢字が読めない」「解説が難しい」などの意見が寄せられているので、より分かりやすい表示をしていくなど、今後の課題とします。 続いて11頁の実施目標についてご説明いたします。
・幅広い興味に対応するようバランスをとりながら、年間6回(児童生徒造形作品展を含む)の企画展を開催する。
・所蔵品展・谷内六郎展を年間4回開催する。
・知的好奇心を満たし、美術への理解を深める教育普及事業を企画・実施する。
・所蔵図書資料を充実させる。
・多くの人が気軽に利用できるよう、図書室の環境を整える。
・主として所蔵作品・資料に関する調査研究を行い、その成果を美術館活動に還元する。27年度の企画展は、親しみやすいテーマ展、サブカルチャーを扱ったウルトラマン展、 人気作家の絵本原画展、浮世絵、現代作家の個展など多岐にわたっていました。 「ほっこり美術館」展は、埴輪、大津絵、浮世絵から日本画、洋画、現代美術まで幅広く約120点を展示しました。年度初めの展覧会としては高い数字である20,000人を超えました。 「ウルトラマン創世紀」展は、ポピュラリティがあり人気の高い展覧会でした。 「長新太の脳内地図」展では、絵本や子どもの本の原画などを展示し、絵本を手にとって読むことができる絵本コーナーも設置しました。 「浮世絵にみるモダン横須賀&神奈川」展は、横須賀製鉄所(造船所)創設150周年記念事業の一環として開催されました。地域の歴史を長いスパンで振り返るという展覧会趣旨に対しては、これまで美術館に足を運ぶ機会の少なかった地域の高齢者層からも好評を得ることができました。 「嶋田しづ・磯見輝夫展」は、個性豊かな二人の県内在住作家の最新作を含む約90点を展示し、油彩と版画の対照的な作品世界を楽しんでいただきました。 所蔵品展では、会期ごとに特集を組み借用作品も加えて、より魅力のある展示となるよう努めました。結果的に小企画展を行ったこととなり、総合で満足度が72.6%となりました。特に第2期では大きな規模で、画家・上條陽子の油彩画と、新作インスタレーションを組み合わせ、北側展示ギャラリーに展示しました。 第3期では、横須賀製鉄所(造船所)150周年記念事業の一環として、フランス人エミール・ド・モンゴルフィエが残した写真、書簡等を特別展示しました。 谷内六郎館では、所蔵品展の会期と連動して、年4回の展示替えを行っています。第1期では「かぞくの時間」、2期では「子どもの一日」というテーマをたて、3、4期ではテーマ展示を行った他、NHK日曜美術館40年記念「みつけよう、美」キャンペーン連動企画として、映像に登場する作品と資料を展示しました。 続いて教育普及事業のご説明にうつります。13頁をご覧ください。個々の事業については一覧をご覧いただきます。例年と同様の回数のとおり講演会・アーティストトーク、展覧会関連ワークショップ、大人・ワークショップ、映画上映会を開催いたしました。前回と異なる表記といたしまして、表の最後に「教育委員会他課との連携」がございます。27年度は横須賀市自然・人文博物館と連携した講座、また市民大学講座の開催、生涯学習財団と連携した美術館めぐりの3件の事業を行いました。補足いたしますと、これらは以前から開催していた事業もありますが、他課との連携をますますはかっていく方針があり、今回から改めてまとめて記載することといたしました。こうした実施内容から評価を「A」とさせていただきます。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。大変細かく記載していただきました。達成目標についてですけれども、柏木委員が「S」ということで、記載しているのでこのあたりをご説明ください。


〔柏木委員〕:私も美術館で勤務しておりまして、学芸の方々やアドミニストレーションの方々、現場の取り組みやご苦労がよくわかるものですから、つい美術館側に寄り添った評価になってしまうのですが、他の委員の皆さまでバランスを取っていただければと思うのですが、実際に評価するにあたって「S」とつける基準が示されていたと思いまして、それを見ながら評価したのですが、達成目標については、これは明確に数値が示されていまして、それが目標に対してどうであったかという観点でみればいいかと思います。この点に関しては、ここ4ヵ年の中で最も高い満足度が示されていることを勘案して私は「S」としました。実施目標につきましても、ここに書かれているように展覧会の企画そのものが、色々な関心をもった方々に関心を満たす場を提供するように、バランスの取れた事業が設定されていますし、その事業に伴った様々なイベントもこの美術館の規模を考えますと、かなり最大限に取り組んでらっしゃるのではないかと、そういう取り組みの姿勢があって、達成目標がこれまでで最も数値が高くなっていると思いまして、両方とも「S」にしました。特に、美術館という施設の基幹事業に関わる評価ですので、そこはなるべくしっかり評価してあげたいなと考えました。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。柏木さんは、皆さんご存知のように横浜美術館に勤めておられます。MM21地区にあり、立地性も良く、集客力のあるわけですけれど、そういう状況とは異なる横須賀美術館は非常によくやっているのではないかということで、「S」と評価されているのではないかと思います。草川委員も記載しているので、よろしくお願いします。


〔草川委員〕:これは私の個人的な考えなのですけれども、美術館にとって企画展は力を入れるべきものと記載されておりますので、それに対して、私どもも色々なイベントをやっておりますので同感でございます。それで、今まで美術館も一所懸命やっていらっしゃいますが、さらに集客力のある企画展をぜひやっていただきたいという私からの要望です。評価のことを書いているわけではございませんので、評価は「A」以上だと思っております。これは達成も実施も同じことだと思います。企画展は「ウルトラマン創世紀」を見ましたけれども、素晴らしい企画で、私自身昔を思い出して、大変楽しく過ごしました。


〔小林委員長〕:はい、ありがとうございます。他にご意見ありますか。


〔菊地委員〕:確認で、自己分析でもされているのですけれど、児童生徒造形作品展が企画展の中に組み込まれて評価の対象となっていることが、多少評価に影響を及ぼす要素になっている。恐らくそういう意識はおありなのではないかと思います。観覧者数が14,346人の内、回答している71人は親御さんだと思われます。本来の、お金を頂戴して行う企画展と、児童生徒造形作品展は性格が違うのかなと思いまして。今後、④に「児童生徒造形作品展を実施する」という目標が掲げられているので、切り分けができるのであれば。おそらくご自身の判断でも違和感をお持ちなのではないかなと思いましたので。その点だけ。


〔小林委員長〕:いかがですか。


〔事務局・沓沢〕:技術的なことだけお答えしますけれども、鋭いご指摘でございまして、評価制度を開館年度から運営していくにあたって、企画展の質的評価をどのようにしようか、という議論の中で満足度を数値的な指標としていくということが検討されました。開館当初は、「児童生徒造形作品展」の満足度は抜群だったわけです。最近の傾向をみると、他の企画展の満足度がそれに追いついてきている、ということで、現状でも全体の満足度を若干上げる効果が造形展にはありますが、おっしゃるようにもし外して考えることが適確であれば、そういう評価の仕方も可能ではあると思います。


〔菊地委員〕:今回はいいです。もうできあがっていますので。


〔小林委員長〕:柏木委員や草川委員は、もう少し上かなという意見もありますけれど、全体的なかたちで、一次評価どおり二次評価は「A」ということで提案したいと思います。次の実施目標についてご検討願うわけですけれど。柏木委員は「S」ということで、達成目標と勘案しながら出てきたことだと思うのですが、ご説明願いたいと思います。


〔柏木委員〕:すみません。先ほど実施目標とあわせて説明したつもりだったのですけれども、繰り返しになりますけれども、色々な方々のニーズにあわせて展覧会をバランスよく企画なさって、それに伴う様々な関連事業も精いっぱい実施に取り組んでいられるということで、達成目標を「S」ということにしました。


〔小林委員長〕:はい。河原委員は欠席ですので、コメントが入っていますけれども全体的に、「A」というかたちで二次評価を提案したいのですけれどもよろしいでしょうか。
では実施目標を「A」ということにさせていただきます。それでは④の項目についてご説明いただきたいと思います。


〔事務局・工藤〕:16頁をご覧ください。「④学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」にまいります。達成目標は「中学生以下の年間観覧者数22,000人」です。27年度の中学生以下の年間観覧者数は24,173人となり、目標を達成いたしましたので「A」といたしました。  若年層に配慮した事業と、そのPR計画の成功が、目標達成につながっています。「ウルトラマン創世紀展」と「長新太の脳内地図」展ではいずれも、市内の小中学校を通じ全児童生徒にチラシを配布しました。学校からの配布物という手法で周知することには、一定の効果があると考えられます。
続いて17頁の実施目標についてご説明いたします。実施目標は、
・学校における造形教育の発表の場として、児童生徒造形作品展を実施する。
・学校と緊密に連携し、子どもたちにとって親しみやすい鑑賞の場をつくる。
・子どもたちとのコミュニケーションを通じて、美術の意味や価値、美術館の役割などに気づき、考え、楽しみながら学ぶ機会を提供する。
・鑑賞と表現の両方を結びつけたプログラムを実施する。
・小学校鑑賞会を充実させるため学校との連携を強化する。鑑賞会と連動した教材の共 同開発と活用、出前授業の実施などを教員と協力しながら実施する。
毎年継続して、造形作品展を開催し、また小学校6年生全員が来館する鑑賞会を行っています。平成27年度の「小学生美術鑑賞会」では、25年度から取り組み制作したアートカードによる学校での事前授業の実施状況等を各校に調査しました。事前授業によって、あらかじめ作品のイメージが伝わっていると、作品に対する児童の反応もよくなることがわかりました。
アートカードについて付けくわえて申し上げますと、平成25年度より継続して行なってきた「地域とはぐくむ子どもための鑑賞教育基盤整備事業」は、当初予定通り、27年度末をもって、文化庁からの助成が終了しました。助成により制作したアートカードは、現在、小学生美術鑑賞会の事前授業において、9割近くの学校に活用されています。今後も、学校現場での活用状況を把握し、必要に応じてさらなる活用促進を呼びかけていきます。行っている学校との連携事業につきましても、改良を重ねていく工夫を続けており、こうしたことから実施目標を「A」といたしました。説明は以上です。


〔小林委員長〕:はい、ありがとうございます。少し説明させていただきますと、児童生徒の数が増加していると書いてしまいましたが、「S」にさせていただいて。幼児の割合はこの美術館の周辺の方たちが見に来られるのだと思います。で、最近横須賀の人口減少が言われていますので。ところで、対象としている幼児、児童、小学生の状況はどうですか。ほとんど変わっていないのですか。


〔事務局・佐々木〕:幼児の観覧者数ということで、近隣からだろうという想定はできると思います。横須賀市として人口減少はありますので、実態の数字は今、手元にありませんが少なくなってきていると認識しています。観覧者数に関してはおっしゃるとおりですけれども、26年度に夏の展覧会が子ども向け、未就学児の方でも楽しめるという企画で、その部分で前年度が非常に大きかったのだろうと思います。27年度は同じ時期は「ウルトラマン創世紀」展があたりますけれども、それでも前年並みの数字が出ているといえます。


〔小林委員長〕:幼児の方は、美術館で一緒に勉強しましょう、といっても交通アクセスの問題があって、高い目標をたてても全体数が小さくなっている状況では厳しいものになっているのかなと。それから小学生についてもとても努力されていると思います。美術館を使うということに対する、横須賀市全体で小学校や中学校に対して、教育の一環として美術館をPRしている、行きわたっているのですか。


〔事務局・佐々木〕:市立の小中学校に関しては、年数回の校長会議という場がありまして、そこで話をさせていただいております。また教育委員会の定例会で、毎企画展ごとに「こういう趣旨である」という報告をさせていただいております。それから16頁に記載のとおり、やはり子ども向けの企画内容については、直接学校に配布物を送りまして、各学校にご協力いただいていることで大きく効果が上がっている要因ではないかなと思っております。


〔小林委員長〕:なるほど。もちろん色々努力されているということはよくわかります。横須賀美術館の一つのあり方として、小学生や中学生の教育の一環として、他の市町村とは違う美術館の位置づけとして求めているところがあると思います。そのようなことで伺っただけですので。お子さんが段々少なくなっている状況で、年々高い目標を掲げても厳しくなるだけなのではないかなと思いまして。柏木委員、いかがでしょう。


〔柏木委員〕:教育普及事業というのは美術館の展覧会とならんで、基幹事業になりますけれども、達成目標は前年度に比べると少し数字が落ちていますけれども、今議論があった幼児の数字が落ちていまして、25年度と比べても多い数字です。そういったことを鑑みると26年度は「S」評価となっていますけれども、達成実績としては決して26年度とそん色ないので私は「S」としました。ただ、実施目標についてもここに書きましたけれども、造形活動支援も鑑賞教育もメニューが豊富ですし、自己分析もしっかりされて課題も分かってらっしゃるので、同じく「S」とつけました。


〔小林委員長〕:はい。柏木委員から達成目標も実施目標も含めてお話しが出ましたので、関連していて結構ですので、何かご質問がありましたらいかがでしょうか。


〔木下委員〕:私は実施目標を下げた、「B」にした理由ですけれども、美術館教育というと少し違うかもしれないのですが、いただいた参考資料の72頁を見まして、幼児、小学生、中学生の観覧者数を見て、確かに小学生は鑑賞会で必ず6年生は全員来ますし、中学生は子どもをもっている親として言わせていただくと、夏休みの宿題で、必ずどこでもいいから美術館に行って課題をつくりあげるという課題がおおよそあります。それで来る、言い方が悪いのですが、来なければいけない義務のようなものがある。来館者数をみると、それ以外で自発的に美術館に来たいと思っているような子が、果たして増えているのかというとちょっと、そこが疑問に思ったのでこちらのように書きました。


〔小林委員長〕:はい。実施目標についてはまた後ほどにいたしまして、達成目標については、よくやっているということでよろしいですか。


〔木下委員〕:はい。


〔小林委員長〕:何か他に意見ございませんか。はい。それでは二人の委員からは「S」という評価が出ましたけれども全体的には、二次評価はいいのではないか、と受け止められているので、一次評価同様「A」ということで提案させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。そして次の実施目標についてですが、木下委員からもお話しが出ました。何かほかに意見はございますか。


〔菊地委員〕:先程のご説明の中では、アートカードの成果をお話しされた。おそらく昨年度の「S」というのは25年度にアートカードが導入されて、非常にいい制度で立ちあがって、26年度はそれを使って、本格的に美術館と学校との距離、それをツールとして活かして試行錯誤するなかで、3年目となる今年はその手応えがどこにあるのかなと思って。先ほどのお話しだと、手応えが相当あるわけですね。生徒だけではなくて、先生方も間に入ってアートカードを通じて美術館との関係性を非常に強く構築できたという印象をもっています。この一次評価の中で、アートカードという言葉は出てきますが、なかなか私はそこを読み取れなかったので一次評価と同じ「A」にしました。実は先ほどの説明を聞いて、3年目は3年目なりにアートカードをきちっと活用する中で、生徒、先生、それから美術館のスタッフ、それから美術館という関係性がより強固なかたちになっているな、という感覚をもったので、ここでは「A」にしましたけれど僕は「S」でもいいと思います。しっかりアートカードの良さを生かして活用して浸透させているなと。来年になったらまた違う課題が出てくると思いますけど、3年目としてよくやっているなと。26年度の「S」はアートカードの影響が非常に大きかった。それは今年度も同じことでもいいと思うし。唯一のツールですから。だから僕は「S」に変えます。


〔小林委員長〕:はい。今の菊地委員の話って非常に大切なことだと思います。アートカードの問題というのは、この美術館としては大きな教育効果を生んだと思います。そのことについて、美術に対する学習の度合いも変わってきた。じゃあもう一つ次の段階において、実質的な問題についてどのように展開したのか、ということがあってもいいのではないかと。ただ数字的なかたちで追うのではなくて、せっかくこういう形に評価をまとめたときに出てきているので、そのようなかたちで実施目標を設定しながらやるのもいいのではないか。これはひとつの重要な考え方だと思いますので、事務局側としては受け止めていただきたいと思います。非常に大切な考え方ではないかと思います。そのようなことで菊地委員は「A」を「S」にする、と。いかがですか、他の委員の皆さまは。


〔草川委員〕:実際、正直なところ、美術館教育の実態というのがまだ充分理解できておりませんもので、ここに関しては話すことはありませんが、記載してあることを読みますと、美術館と学校、幼稚園[保育園]の連携がとれて充分いろいろなことをされているな、と。ただ先程と同じですけれど、一次評価が「A」ということだったので、それくらいのレベルなのかなと。レベルがわからなかったもので。皆さまが「S」というご意見もありましたけれども、それならば「S」で私は結構でございます。


〔小林委員長〕:はい。他にいかがでしょう。木下委員いかがですか。色々見方としては高校生、大学生のつながり、これは重要だと思います。小学生や中学生で位置づけられている美術教育と美術館の問題と、また高校生とで位置づけられている問題が、少し違うようなところがあって、おそらく美術館としては、後はお任せするというような。指摘としては、せっかく美術館に来る気持ちや、勉強する気持ちが培われたなら、それが上につながっていかないかな、とそういう気持ちが非常に大切だと思います。何か評価点が変わるということがございますか。


〔木下委員〕:皆さまのお話を聞きまして、小学生のアートカードが普及しているようですので。館側と学校側と連携がよくできていると思います。その面においては、「A」でも「S」でもと思います。


〔小林委員長〕:「A」ということぐらいかと。全体の皆さんの意見を聞いて考えますと、「S」にするか「A」にするかということで。かなりがんばっています。いかがでしょうか。二次評価として、この実施目標としては、実際の達成目標、数的な問題とは別に、中身の点ではがんばっているなと。一次評価とは違ってもう少し二次評価のランクがあがってもよろしいでしょうか。つまり「S」でもよろしいでしょうか。では二次評価としては「S」にさせていただきます。それでは次、⑤の説明をお願いいたします。


〔事務局・沓沢〕:19頁をご覧ください。【⑤ 所蔵作品を充実させ、適切に管理する。】について、説明いたします。 この項目は、美術品の収集・保存・管理等に関するものです。
数値目標が立てにくいなか、達成目標は、環境調査を実施する回数2回、美術品評価委員会を開催する回数1回としております。いずれも、目標の回数を実施しておりますため、一次評価は「A」といたしました。
次に実施目標は、作品の収集活動、保管環境、修復・額装、作品の貸し出しについて、それぞれ望ましい姿を掲げております。おおむね目標どおりの活動ができていますが、収集活動に関して、作品購入費の充当がされていない状況が続いており、主体的、積極的な活動が制限を受けていることから、一次評価は「C」といたしました。 ⑤についての説明は以上です。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。ここはいつもいろいろ問題があるのですが。いかがでしょうか。みなさん一次評価どおりですが。柏木委員は、「A」とされて、取り組みとしては過不足ないと思われます、と書いてありますが。コメント入れてくださっていますので、説明していただきたいと思います。


〔柏木委員〕:美術品が適正に保管保存される環境が保たれているかどうかの調査を必ず的確に行っている、ということを達成目標にしているので、美術品を収集するという活動を継続的に行っていくというのは、美術館にとっては非常に大事なことです。それを必ず1回、横須賀市が招集する委員会になるのだろうと思うのですが、しっかりその委員会が開けるような収集のための調査活動をしているということが目標で担保されているということですので、その目標のとおりにやっているという意味で「A」ということだと思います。
実施目標は、先ほど沓沢さんからもご説明ありましたけれども、例年私は同じことを書いています。購入予算がいま現在途絶えている状況においては、収集活動全体の評価としては評価不能という、「F」とすべき側面もありますけれども。とりあえず収集活動を継続しているという状況もあります。それで、「C」という評価を一応したのは、これから予算獲得、購入することの意義ということを、行政のみなさんにももう一度ご議論して、予算を獲得してほしいという期待を込めて、「F」ではなくて「C」といたしました。


〔小林委員長〕:他にご意見ございますか。よろしいですか。そうしましたら、一次評価同様「A」というかたちで提案させていただきます。よろしいでしょうか。 次の実施目標ですが、なかなかいつも、状況が状況ですので厳しい点があります。樺澤委員の評価は「B」とありますので、ご説明を願いたいのですが。


〔樺澤委員〕:評価基準と云うのはあまり認識していない部分があるのですが、資料の20頁にもございますが、コレクションのバランスを崩さないということと、先ほどお話にあった収集のための予算とのかねあいでご苦労されているな、というところが見えましたので。同時に恐らく、寄贈される方のいろいろなご厚意に対して、受け入れる品物として適切でない、というようないろんな評価があるのでしょうけれども、何でも受け取ってしまうと、今度はいわゆる持ち腐れ的なことになってしまうという経験を私もしたことがあったものですから、そういうコメントを書かせていただいています。
とりあえずいただいたけれども、ホコリをかぶっていてぜんぜん表に出なくて、倉庫がいっぱいになった、といったような。そういうことが記憶にあったものですから。少しコメントを書かせていただきました。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。たいへん貴重なご意見ですので。ありがとうございます。草川委員も、コメント入れていただいています。


〔草川委員〕:これもお話で出ておりますけれども、作品購入費、これは厳しいなかでは、本当に一生懸命やられているな、と思っています。
それから、これは期待ですけれども、さらに購入費の予算ですか。これを頂戴といいますか。取れるようにお願いいたします、ということでございます。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。柏木委員も、指摘されていますので。ひとつお願いします。


〔柏木委員〕:先ほどお話したことと同じになりますが、購入費の財源確保というのは、この美術館単体でどうにかなることではなく、市全体の財政の問題もあろうかと思いますので。購入も含めた収集活動が万全に行われているかというと、購入費がないという現実では、評価というふうな判断が不能であるというようなこともありますけれども。ただ、何度も申し上げますように、非常に少額でもかまわないので、購入を続けている、という実績を積み上げるということは、美術品に関する情報が集まるひとつの手段でもありますので、そういった意義も考えて、横須賀市の財産でもあります、予算の獲得に向けて関係の部署で努力をしていただけたらありがたい、という期待を込めて「C」ということです。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。いろいろ書かれているわけですが、今の横須賀美術館の状況は大変厳しい状況である。そのようなことを全体的に入れると、本来なら美術館とはこういうものだろう、こうあるべきだ、という部分がなかなか行き渡らないということがありますので。そういうことも含めて、一次評価「C」となっております。多くの皆さんが二次評価「C」ということになっているのですが、一次評価同様、「C」ということでよろしいでしょうか。では、「C」とさせていただきます。それでは⑥の説明をお願いいたします。


〔事務局・上野〕:それでは、【⑥「利用者にとって心地よい空間・サービスを提供する。」】について説明いたします。一次評価報告書21頁、二次評価まとめ6頁をお開きください。 まず達成目標ですが、館内アメニティ満足度90%以上、スタッフ対応の満足度80%以上という目標に対し、22頁の一番上にございますとおり、昨年度はほんの少し数字が届かず「B」評価となりましたが、27年度はそれぞれ92.5%、85.2%と目標を達成しましたので、「A」評価とさせていただきました。 二次評価まとめのほうでも、柏木委員より「S」評価をいただき、草川委員からも「S」評価でも良いかと思う部分もあるとコメントをいただきました。正直、事務局側としても、今回「S」評価をしないで、いったいいつ「S」評価するのかとも考えました。ただ、満足度の表の下にありますように、案内サインのことなど、まだ改善できる余地はあると思いますので、現状で満足せずにいずれ「S」評価をいただけるよう、努力したいと思っております。 次に、実施目標について、一次評価は「A」としました。
一次評価の理由と言いますか、根拠として、22頁上段に記載の3つの目標に対して、22頁中段から24頁まで、それぞれこういったことをやりましたという実績を記載させていただきました。 中身にいくつか簡単に触れさせていただきますと、22頁下段のメンテナンスの1つ目にあるとおり、建物中庭を中心に外壁塗装工事を行いました。定期的に錆落し及び塗装を実施することで、劣化を防止する効果があります。28年度は谷内館外壁の一部を施工する予定です。 次に23頁一番下の「災害への備え」に関しまして、毎年、防災訓練を実施しているのですが、型どおりの訓練になっており、実際に突然災害が発生したらきちんと動けるのかという懸念がありましたので、現在、災害時にまず何をすればよいのか、という「災害時行動指針」の作成に取り掛かっています。作成したものを訓練に取り入れ、その反省をもとに改良していく予定です。 ⑥の説明は以上です。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。ここでは、柏木委員が非常に高水準であると評価しています。いろいろな美術館を見られている中で、アメニティの点で良いのではないかということですか。


〔柏木委員〕そうですね。達成目標は数値目標が立てられていて、それに対してどう評価するかだと思っております。前年度に比べても明らかに数値が高いです。では、どれぐらいの数値を出したら「S」になるのか。私は、目標をかろうじてクリアしたということ「S」ではなくて、それ以上の数値が出ているので、「S」としてもよいのではないかと思いました。


〔小林委員長〕:そうですね。数字的には非常に良いですね。草川委員はいかがですか。


〔草川委員〕:館内アメニティ満足度が初の目標達成ということ、そしてスタッフ対応が大幅な目標達成ですので、美術館や他のレジャー施設もそうですが、お客様にとって心地よい空間・サービスを提供することが一番、当然ながら美術館ですので、作品を見ていただくということが当然ではありますけれども、それ以上に、安らぎの場を提供するのは当然だと思います。これだけの目標達成をしており、さらには年々上昇していることも兼ねて、「A」以上、私は「S」に近い「A」、「S」でもよいのではないかと考えさせていただきました。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。このようなご意見がありましたけれども、他の委員の皆様でご意見はございますか。


〔菊池委員〕:確認なのですが、一次評価書の22頁にある27年度のスタッフ対応の満足度は85.2%で、参考資料集の114頁に同じ表があるのですが、そこでは87.5%となっています。どちらが正しいのでしょうか。


〔小林委員長〕:事務局の皆様、いかがですか。


〔事務局・上野〕:一次評価書に記載されている数字が正しい数字でございます。参考資料集に記載の数字が誤っておりました。大変申し訳ございませんでした。ですので、館内アメニティ満足度は92.5%、スタッフ対応の満足度は85.2%というのが正しい数字です。


〔小林委員長〕:ということを前提にいたしまして、達成目標について、みなさんのご意見はいかがですか。「A」ということでよろしいですか。菊池委員、いかがですか。


〔菊池委員〕:たしかに柏木委員のおっしゃるとおり、達成目標自体がかなり高い数字で、アメニティ満足度が9割以上というのはほとんど完璧に近いという状況を設定しているのをさらにクリアしている。時系列で見ても、スタッフ対応の満足度が上がってきています。以前は70%ぐらいだったのが、80%台になっている。そういうことを考えると、これ以上の数値を求めるのは不可能に近いというか、コンマ1%上げるのも大変なのではないか、ということで「S」評価でもよいかと私は思います。


〔小林委員長〕:みなさんいかがですか。今、菊池委員が一つの提起をしてくださいましたが。


〔菊池委員〕:そういうのも含めて、観覧者数やリピーター率も非常に上がっているなと。


〔小林委員長〕:草川委員、いかがですか。


〔草川委員〕:私も「S」でよいと思います。「A」と評価しましたけれども、文章中にもありますとおり、「S」評価でよいと思います。それだけの成果が上がっていると思います。


〔小林委員長〕:樺澤委員はいかがですか。


〔樺澤委員〕:「S」評価に賛成です。


〔小林委員長〕:木下委員はいかがですか。


〔木下委員〕:いつもよく対応していただいているので「S」でよいと思います。


〔小林委員長〕:みなさんからのご意見で、高い目標の中でこの数値は良い数値であると。実際、アメニティのいい美術館ですね。ということで二次評価を「S」と提案させていただきたいと思いますが、よろしいですか。
では、実施目標についてはいかがですか。これも、満足度が90%以上という状況が実際にクリアしているということになると、実施目標そのものはどうでしょうか。これはこのままでいいと考えたほうがいいですか。


〔柏木委員〕:実施すべき項目が設定されておりますけれども、これらを複数年にわたって、過不足なく着実に行われている実績が満足度の上昇につながっているということなので、私は「A」でよろしいのではないかと。

〔小林委員長〕:今、柏木委員がご説明してくださいましたが、菊池委員はいかがですか。


〔菊池委員〕:実施目標はどちらかというとハード面のことなので「S」がつけにくいのではないかと思います。ですので、柏木委員がおっしゃったとおり、「A」が悪いということではなくて、もう最上級でいくしかないなという気持ちです。


〔小林委員長〕:いかがですか。実施目標については、柏木委員と菊池委員から出たような理由をもちまして「A」ということでよろしいですか。では、次に⑦についてよろしくお願いします。


〔事務局・沓沢〕それでは、一次評価書の25頁をご覧ください。【⑦ すべての人にとって利用しやすい環境を整える】について説明いたします。
横須賀美術館では、開館以来、障害のある方と美術の接点について考えるための活動を続けてまいりました。この項目では、障害者に関連する事業のほか、小さい子どもへの福祉なども含めた、福祉関連事業について評価しています。
達成目標は、福祉関連事業への参加者数のべ400人以上です。平成27年度の実績は、318人となり、目標を下回りましたため、一次評価は「B」といたしました。ここ数年「福祉パフォーマンス」として実施し、多くの自由参加の観客を得ていた部分を、参加者を限定したワークショップとして実施したことが、参加者数が減った主な要因といえます。より目的に沿った事業内容とするために、こうした判断となったわけですが、目標設定の際に単純に例年並みとしたことに、問題があったといわざるを得ません。28年度以降の評価では、実施しようとする内容に即した目標を設定することを徹底してまいります。
実施目標は、「・年齢や障害の有無などにかかわらず、美術に親しんでもらうための各種事業を行う」こと、「・必要に応じて、対話観賞等の人的サポートを実践する」ことを挙げています。27年度も、福祉に関連した各種の事業について積極的に取り組んできたことから、一次評価は「A」といたしました。⑦についての説明は以上です。


〔小林委員長〕:いかがでしょうか。利用しやすい環境を整えるということに関しまして。福祉関連事業への参加者数が目標より少し減ってしまった、ということも含めて、一次評価「B」に対して、二次評価もみなさん「B」ということなのですが、何か特に、ここでご意見申し上げたい、ということがございましたら。この点はよろしいですか。


〔菊池委員〕:致し方ないですね。目標設定の齟齬があったとご自身で認められているのであれば、もうやむをえないと思います。
ただ、そこの理由にあった、福祉パフォーマンスをワークショップに転用したことが、参加者数の減少につながった、という、あえてそういう形にシフトした理由をもう少し訊きたいです。


〔小林委員長〕:なるほど。いかがですか。


〔事務局・沓沢〕:年度が始まってからも、よりよい内容設定に向けて、講師の先生と協議をしながら進めているところでございまして、たまたまこの年度については、パフォーマンスに類する方というよりも、よりワークショップという形で実現したほうがいいという方とお話をしていた、ということになります。
27年度がそういうことになったこともあり、パフォーマンスという枠にこだわる必要ないのではないか、という課内での意見調整がありまして、予算的な位置づけがあるわけですけれども、そのなかで、よりその福祉事業をする目的に即した活動とするために、ワークショップまたはパフォーマンスをあわせて2回する、という枠組みに読み替える、ということをいたしました。
ただ、この評価のシステムのなかでは、やはり参加者数というのはひとつの基準になっておりますので、そういう性質を変えてしまったために、参加者数が結果的に減少してしまいました。計画的にする、ということとあわせて、目標設定を精査していくということで、対応してまいりたいと思います。


〔菊池委員〕:今のお話のなかで、これは時間軸の話ですけれども、いま言われたような計画を立てる段階と、目標設定をする段階との時機の問題というのは、前後というのはどういう関係になりますか。
目標設定がなされた後、中身が決まるのか、計画がなされた後、達成目標を決めるのか、それだとすると、もう無理ではないかと思います。しかしながら、目標設定に縛られて、事業計画がなされる、ということもまたナンセンスであって。
そこのところをしっかり精査しておかないと、どちらかに縛られて、評価が歪曲するというのは、よくないと思うので。
本来ならば、年度でどういう目的でどういうことをする、ということからそれに対する目標数値はいくらにする、ということがここに表記されるのが普通だと思います。ここに表記された数値の根拠と、あとで実際に計画された数字の根拠が違うということになれば、そもそもこの評価と実態がそぐわないということになってしまうので、そこは見極める必要があるかなと思います。


〔事務局・沓沢〕:菊地委員のおっしゃるとおりで。そのあたりは、もちろん計画と云うのは早くしていったほうが良いので。事業の計画自体を早めに行うということが、ひとつございます。それによって予測される、例えば、定員があるようなワークショップもありますので、無理な目標設定とならないように、こちらの事業計画を定めていくうえで精査していくべきであると思っています。


菊池委員〕:そのあたりは我々にはわからないのでうまくやっていただかないと、目標数値と齟齬があるというのでは意味がないので。そこをお願いしたいことと、また全く別の視点から思ったのが、このなかに託児サービスの数値が含まれています。そこがいかがなのかと思いまして。
託児サービスの利用者を増やすということは、利用促進をするということがひとつの側面としてありますが、それが増えたことによって評価が上がるとか下がるとか、そういう考え方のものではない。託児サービスがそもそもあること自体が大事なので、それを広報して積極的に利用してもらうというのは、どちらかと云うと実施目標に近いのではないかと僕は思っているので。達成目標の中に、託児サービスの利用者というのを、ここに数として盛り込むのはいかがかな、と思ったのがひとつ。
これはあくまでも利便性として設けているので、そういう方々が来ても安心して美術館を使っていただけますよ、という受け皿なので、ここの数値を上げるために何かをするということではないと思うので。そのあたりも考えどころかな、と、感じただけです。評価についてではなくて。

〔小林委員長〕:これは柏木さんがおっしゃっているのもそのようなことですか。


〔柏木委員〕:そうです。事業を精査する中で、目標と立てている数字と一致する数字なのかどうか、というのが今回大きな課題となっていると思いますので、一次評価の分析でもそのようなことが書かれています。


〔小林委員長〕:はい。今のご指摘たいへん重要です。今後についてはそのあたりも考慮しながらおやりになっていただきたいと思います。草川委員もコメントを残しておられますのでお願いします。


〔草川委員〕:同じような内容でございます。


〔小林委員長〕:はい。では、ここは目標設定の仕方についてご考慮を願いたいと思います。では、達成目標の評価についてはそのような問題はありますけれども、今回は、「B」評価ということでよろしいでしょうか。
それから、実施目標については、いかがですか。これは菊地委員からはじまって、柏木委員、草川委員からお話が出たように、簡単にいかない部分もありますが。どうでしょう。
次回からこういう点を考慮していただくこととして、今回の読み方としては、いわゆる数字の問題等々を前提としたかたちで、実施目標については一次評価どおり、二次評価も「A」とさせていただくということでよろしいですか。では、⑧の説明をお願いします。


〔事務局・蛯原〕:それでは、「⑧事業の質を担保しながら、経営的な視点をもって、効率的に運営・管理する」の一次評価について、ご説明させていただきます。評価報告書の28頁、二次評価まとめ8頁をご覧ください。 まず、達成目標についてですが、平成27年度の達成目標は、『電気・水道・事務用紙などの使用量を直近3年間の平均値以下とする』というものでした。頁中段に表がございますが、電気使用量と事務用紙使用枚数は目標を達成することができましたが、水道使用量については目標を達成することができませんでしたので、一次評価は「B」としました。
達成できなかった理由としましては、表組みの下にございますとおり、主に観覧者増による手洗い場の利用増とレストランの水道使用量の増によるものと思われます。
続いて、実施目標「職員全てが費用対効果を常に意識し、事業に取り組む」につきまして、実施目標の一次評価は「A」評価としました。
理由としましては、記載のとおりですが、各種契約において、一般競争入札や見積り合せによる契約を多く取り入れることはもちろん、作品の集荷など展覧会の出張におきましても、一番経費のかからないルートを選択し、かつ出張回数が少なく済むよう、複数の美術館にまとめて出張するなど、業務の質を落とさない範囲で経費削減にも努めており、職員全員のコスト意識が高く保たれていると感じております。⑧の説明は以上となります。


〔小林委員長〕:ありがとうございます。いつも本当に努力されていると思います。樺澤委員は「A」とコメントが書いてありますけれども、いかがですか。


〔樺澤委員〕:無駄遣いというもののどこに線を引くかというのは様々な課題があると思います。館の活動の質を落とすようなことがあってはならないと思います。例えば、お客様が水道を出したまま帰ってしまうのはよくないのではないかと思いますが、そうではなく、安心・安全の上に立ったサービスの一環という考え方であれば館の活動に必要な範囲内であると思い、コメントしました。


〔小林委員長〕:やはり利用者が増えてくると水道使用量も増えてくるだろうと思いますので、全体的に鑑みないと、逆に自分で自分の首を絞めてしまうような形になりかねないので。草川委員、実際に経営されている中で、いかがですか。


〔草川委員〕:ホテルやレジャー施設では、来館客数の増減や天候など様々な外的要因で、水道光熱費は大きく変わってきます。その中で、美術館は来館者数が増えていますので、大変かとは思いますが、削減努力をされているなと思います。私は「B」と書きましたが、「A」でもよいのではないかと思います。


〔小林委員長〕:木下委員、いかがですか。


〔木下委員〕:これだけ来館者数が増えているのですから、それなりに水道代も上がって当然だと思いますので、私も「B」としましたが、「A」でもよいのではないかなと思います。


〔小林委員長〕:柏木委員はいかがですか。


〔柏木委員〕:光熱水費は非常に外的要因で変動します。という部分があるのと、基幹事業での入館目標を設定されて、それに対して光熱水費が割り出されていくと思うのですが、計画段階でその目標数値が担保されているわけではないので、計画段階で目標設定をするのは非常に難しいことではないかと思います。ですから、こういう観点で経営の効率化を見ることが本当に適切であるのかが分からないです。ここでは数値目標というものが立てられていて、それに対して相対的にどうであったか、という判断になってきてしまうので、そうすると一次評価と同じ「B」になってしまいます。しかしながら、適切な分析がなされていて、次年度以降、その分析がまた生かされていくということを期待するのであれば「A」でも構わないと思います。


〔小林委員長〕:ただ単に直近3年間の平均値以下と決めてしまうと、厳しい状況になるのではないかと思いますので、目標の立て方については検討が必要であると思います。みなさんの意見を見ると、「B」評価をされた委員の方も「A」にしてもよいのではないかという方向ですので、委員会としては二次評価を「A」と明記したいのですが、よろしいでしょうか。
次の、実施目標「職員全てが費用対効果を常に意識し、事業に取り組む」についてはみなさん特に問題はございませんか。柏木委員のコメントが出ておりますが、大変重要なことだと思います。美術館というのは建物だけを貸したり使われたりする場所ではなくて、学芸員の研修や研究が行われる場所であり、それが美術館全体のレベルアップにつながっていくことだと思いますので、その辺を含めてご説明をお願いします。


〔柏木委員〕:調査に関する出張も効率というものを考えるべきなのですが、展覧会を準備するには様々な相手がおり、突発的な要因が発生して動かなければならないこともありますので、そのような時の経費がいたずらに削減されてしまうと、手足を縛られた状態で事業を進めていかなければならなくなります。効率的な調査は求められるけども、それがいたずらに効率のみで圧縮されることのないようにしてください。


〔小林委員長〕:これは大変必要なことだと思います。特に学芸員さんたちが様々な形で向上していくことが、美術館全体の質を高めることにもつながっていくので、少し経費がかかるから良くないということで予算を考えるだけでは駄目だと思います。そのような意見も踏まえまして、みなさん「A」評価となっておりますので、一次評価と同じ「A」ということにさせていただきますがよろしいでしょうか。


〔小林委員長〕:以上をもちまして、二次評価について委員会として決定させていただきました。議案1につきましては、締めさせていただいてもよろしいですか。


【議事(2)平成28年度の事業計画書について】


〔小林委員長〕:それでは、議事を進めます。議事(2)「平成28年度の事業計画書」について、事務局は資料の確認及び説明をお願いします。


〔事務局・佐々木〕:では、平成28年度事業計画書について、説明をさせていただきます。
本年3月に開催した本委員会でご意見をいただき、事務局で再度検討、修正し、完成いたしましたものが、本日配布させていただきました、資料2「平成28年度事業計画書」となっております。
修正させていただいた事項を中心に、事務局から説明させて頂きます


〔事務局・相良〕:では資料に基づき説明させていただきます。事業計画書の2頁をご覧ください。
「Ⅰ美術を通じた交流を促進する」のうち、「①広く認知され、多くの人にとって横須賀を訪れる契機となる」の事業計画につきましては、変更はございません。
1.展覧会の実施、2.広報・集客促進事業としては、それぞれ記載のとおりでございます。
次に3頁をご覧ください。達成目標につきましては年間観覧者数10万人以上を目標として設定しました。
変更点としましては、3頁の中段の達成目標の説明の中で、27年度1月末の数字を3月末の数字に変更しました。 年間観覧者見込みに対する達成状況の表中、昨年まで参考として表記していました来館者数実績の数字を削除させていただきました。理由としましては、目標設定として観覧者数のみを数値目標としていること、また美術館の運営状況を表す指標を一本化したいということでございます。
次に4頁をお開きください。実施目標につきましては変更なく5つの項目を設定しています。目標設定は記載のとおりでございます。私からの説明は以上です。


〔事務局・沓沢〕:【② 市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる。】につきましては、6頁の表(市民ボランティア協働事業への延べ参加者数)におきまして、27年度の活動人数を3月末までの実績に基づいて書き改めたほかは、変更はありません。


〔事務局・工藤〕③ 【調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす】の変更点についてご説明いたします。達成目標の平成27年度の数値ですが、1月時点では87.5%でしたが、最終的には87%となりましたので、数値を確定いたしました④【学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する。】につきましては、中学生以下の観覧者数の中で、1月末の数字では幼児が6,994人でしたが、これを7,202人に、小学生が12,328人でしたが、12,639人に、中学生が4,081人でしたが、4,332人にそれぞれ確定いたしました。合計では、23,403人だった数字が最終的に年度末までに24,173人となりましたので、こちらの数値で確定といたします。


〔事務局・沓沢〕:【⑤ 所蔵作品を充実させ、適切に管理する。】につきましては、特に変更はありません。


〔事務局・上野〕:続きまして、⑥についてですが。18頁上段の表の中、平成27年度の数値を最終数値に修正しましたが、基本的に前回、事業計画(案)としてお示ししたものから変更はございません。 平成28年度も受託事業者との連携を図り、利用者の満足度を高めて参ります。
また、施設の経年劣化も進行しておりますので、財政部局に対し、適切な予算の要求を行なってまいります。⑥は以上です


〔事務局・沓沢〕:【⑦ すべての人にとって利用しやすい環境を整える】につきましては、20頁の表(福祉関連事業への参加者数)で、27年度実績を3月末までの数値に書き改めました。そのほか、福祉関連ワークショップもしくはパフォーマンス2回分の参加者の目標値を、あわせて50といたしました。結果として、達成目標としている「福祉関連事業への参加者数」は、のべ400人となり、この点につきましては以前お示しした案と変っていません。 説明は以上です。


〔事務局・蛯原〕:それでは21頁をご覧ください。「⑧事業の質を担保しながら、経営的な視点をもって、効率的に運営・管理する」の事業計画について説明させていただきます。
3月に案としてお出ししたものから、1点修正がございます。
3月の会議で申し上げましたが、3月にお配りした案の達成目標における目標設定の理由について「電気料、水道使用料、下水道使用料は、美術館の総事業費の約14.5%」と記載しておりましたが、正しくは「総事業費の約17.7%」ですので修正いたしました。
達成目標につきましては、引き続き「電気使用量・水道使用量・事務用紙使用枚数を直近3年間の平均値以下」にするという目標を設定することにより、職員やスタッフ間での省エネルギーへの意識づけを行っていきます。
⑧の説明は以上となりますが、最後に事業計画書22頁に、平成28年度予算を載せさせていただいております。こちらは3月にお出ししたものから変更はございません。予算案が市議会を通過しまして、本年度、この予算を基に動いております。予算の執行にあたりましては、引き続き、適正に運営してまいります。 説明は以上となります。


〔小林委員長〕:以上、ご説明いただいた平成28年度の事業計画書ですが、今日の27年度の二次評価の中で、いくつか設定の仕方で問題になった点を考慮に入れていただきながら、計画を進めていただけたらと思います。委員のみなさん、何かご質問ございますか。


〔菊池委員〕:今、委員長がおしゃっていた部分で、先ほど申し上げた⑦の中の託児サービスの件なのですが、数値目標には入っていませんでした。それはいいと思うのですが、19頁の事業計画の中に託児サービスの実施というのが入っていて、どれだけ周知されているかは分からないのですけれども、実施目標のところに「託児サービスが受けられるということを積極的に周知する」といった項目があってもいいのかなと思いました。事業計画の他の4つの大項目については達成目標や実施目標の中に表記されているのですが、4番目の「託児サービスの実施」についてのみ評価の中の基準として表記されていません。ですので、実施目標に「託児サービスを周知することによって利用者が利用しやすい環境を作る」ということが書かれていてもいいのではないかと思います。
それから、先ほど柏木委員からもありましたが、21頁の⑧の項目は、ほぼ「S」という評価はありえない項目だと思います。要は意識を持つということが大事になってくる。運営を縛るようなやり方は非常によろしくないという部分があります。ただ、何かの基準というのは必要であると考えます。そうしますと、達成目標について「直近3年間の平均値以下とする」という表現が非常にきつい目標になっている。
ですから、「平均値を目安に運営する」という表現にして、分析の中にあったように観覧者数が増えれば増えるだけ水道料金も増えてくるというのは当然の話であって、そういうものを勘案しながら、評価の段階で「A」にするのか「B」にするのかという幅を持たせる意味で「平均値以下にする」という形で良し悪しを判断するではなくて、「平均値を目安に運営していく」という程度でいいのかなと思っています。
実施目標については、これはこれでいいと思います。意識づけの問題だと思います。当初に比べれば、非常によく意識づけができていると思います。全く問題ないと思います。


〔小林委員長〕:大変貴重な意見です。事務局の方どうぞ。


〔事務局・佐々木〕:貴重なご意見ありがとうございます。⑦の項目ですけれども、ご意見のとおり、託児サービスを実施計画と位置付けておりますので、実施目標の中に加えさせていただきたいと思います。それから、⑧の経営的な視点の部分でございますけれども、先ほどのご意見もありますし、もう少し考えなければいけないのかなというところがありますけれども、ご意見でいただきました「平均値以下」を「平均値目安」とするという表現でよろしければ28年度の事業計画の修正をさせていただきたいと思います。


〔小林委員長〕:ぜひ、それはそうしないと大変ですので。他に事業計画に関しまして、こういうことを付け加えたほうがよいのではないかというご意見がありましたら、ご遠慮なくご指摘ください。よろしいですか。もしないようでしたら、「3 その他(1)今後のスケジュールについて」の内容に移りたいと思います。事務局は説明をお願いします。


〔事務局・蛯原〕:それでは、資料3「今後のスケジュール」をご覧ください。
まず、本日ご議論いただきました評価結果を基に評価報告書を作成し、委員の皆様にご確認いただきたいと考えております。その後、教育委員会への報告を経て、公開の運びとなります。
平成28年度の事業につきましては、第2回会議において中間報告という形で進捗状況を報告させていただく予定です。
第3回会議においては平成28年度事業の評価スケジュールをご確認いただくとともに、平成29年度の事業計画案をお示しする予定です。今後のスケジュールについては、以上となります。


〔小林委員長〕:今のご説明について何かございますか。


〔事務局・佐々木〕:補足をさせていただきます。先ほどの二次評価の確定の際に、私が申し上げなければならない部分だったのですが、本日の確定内容をまとめ評価報告書に加えまして、出来上がり次第、各委員へ送付させていただきます。 皆様には、最終のご確認をいただき、修正等ございましたら、朱書き等訂正によりご返送いただきたくお願い申し上げます。その後は、委員長一任として完成としたいと考えます。以上でございます。


〔小林委員長〕:ということでよろしいですか。 スケジュールについては、10月から11月の間に第2回目、来年の3月に第3回目が開催されるということでよろしくお願いします。また具体的な日程につきましては美術館から連絡が来ると思いますので、ご協力のほどよろしくお願いします。今日は大変暑い中、ご出席いただきまして、そして非常に活発に評価委員会を運営していただきまして本当にありがとうございました。 それでは、これにて本日の会議は終了となります。皆様、お疲れ様でした。


〔事務局〕:ありがとうございました。