美術館について

美術館評価制度

横須賀美術館評価委員会(平成25年度第1回)

日時:平成25年6月25日(火)午後2時00分~4時40分
場所:横須賀美術館 ワークショップ室

1 出席者
   委員会 委員長     小林 照夫   関東学院大学名誉教授
       副委員長    菊池 匡文   横須賀商工会議所事務局長
       委員      柏木 智雄   横浜美術館学芸グループ長
       委員      久保 由樹   観音崎京急ホテル社長
       委員      黒岩 弘明   横須賀市立北下浦小学校校長
       委員      小島 江美   市民委員
       委員      原田 美穂子  市民委員

   事務局 美術館運営課長          佐々木 暢行
       美術館運営課広報係長       吉田 紀彦
       美術館運営課管理運営係長     三堀 明枝
       美術館運営課(管理運営係)    上野 誠
       美術館運営課(学芸員)      沓沢 耕介
       美術館運営課(学芸員)      冨田 康子

2.議事
    (1)委員長の選出について
    (2)平成24年度の評価について
    (3)平成25年度の事業計画書について

3.会議録(要約版)


【開会】
美術館館長事務取扱、教育委員会教育総務部長は他の会議出席のため、本日は欠席させて頂いております。


【美術館運営課長あいさつ】


【事務局自己紹介】


【傍聴について】
本日は傍聴の方が1名いらしております。


【議事(1)委員長の選出について】


?[事務局]:条例施行後、最初の委員会となりますので、最初に委員長の選出をお願いいたします。
資料1、条例第3条をご覧ください。委員長は、委員が互選するとありますので、皆様方の中から委員長の推薦をお願いいたします。


[柏木委員]:今までどおり、小林委員に委員長をお願いしたいと思います。


?[委員一同]:異議なし。


?[事務局]:小林委員、委員長をお願いできますでしょうか。


?[小林委員]:お引き受けします。


?[事務局]:それでは委員長が決まりましたので、以後、議事の進行をお願いいたします。


?[小林委員長]:それでは議事を進めます。
資料1、条例第3条第3項にある、委員長職務代理者を指名させていただきます。
今まで副委員長をお願いしていた、菊池委員に引き続きお願いしたいと思いますが、菊池委員いかがでしょうか。


?[菊池委員]:お引き受けします。


?[小林委員長]:では、よろしくお願いします。


【議事(2)平成24年度の評価について】


?[小林委員長]:それでは、次第に沿って議事を進めます。
議事(2)平成24年度の評価について、事務局は評価の進め方、評価報告書の体裁等について説明をお願いします。


(二次評価確定の進め方について事務局より提案)


【目標①「広く認知され、多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる」について】


(一次評価および各委員による二次評価について事務局より説明)


[小林委員長]:何かご意見がありましたらどうぞ。


?[菊池委員]:この表記を見ると、特別企画展、どうしてもそこに触れざるを得ないのですけれども、言ってみれば、その特別企画展が開催されていた期間をどう捉えるかによって、12カ月間の年間観覧者数という捉え方が変わってくると思うんです。そうした中で美術館として特別企画展というものをどういうふうに位置付けるのかということは非常に重要で、この後のいろんな項目にも関わってくるんです。私が「一次評価と同様とする」という書き方をしているのは、そういうジレンマが評価の中でどうしても拭い切れないということです。切り離すのであれば、その間は美術館としての機能が無かったとして、その期間は抜かなければならない。期間は加味しながらそのコンテンツの評価を完全に除くというのは矛盾する。さらに言えば、12カ月で、特別企画展を想定せずに103,000人を目標にしたのであれば、それなりの目標の修正があってしかるべきである。目標の修正が無いのであれば、特別企画展をどう位置付けて評価するかという疑問が生じる。端的に考えるに、素直に受け入れて、美術館という施設に足を運んでくれた、中身はどうあれ、施設としての役割を充分担っているのであれば人数的なものは除かなくて良いのかなと、コンテンツとしてテーマとして相応しかったかどうかは別として、実際に物理的に足を運んでくれたのは事実であって、お金を払って来てくれたのであれば、観覧者数に含めていいのかなという気はしたんですね。様々な嗜好の方を受け入れるという意味合いで捉えれば、美術館で催されているものに対して来館したわけで。こうした諸々のことが、頭の中で整理できなかったので、あえて「現段階では一次評価と同様とする」とした。気持ちとしては、この項目はAにしても良いと思っている。


?[久保委員]:菊池委員の意見に近い考えです。特別企画展自体をカウントするかしないか、いろいろな議論があるかと思いますけれど、実際に特別企画展の評価の中で、特にラルク展ですが、市内の方が5%で、それ以外の方、特に都内、県央や、その他という全く県外の方が41%来ているということは、「美術を通じた交流を促進する」「多くの人にとって横須賀市を訪れる契機となる」ということに関しては間違いなく貢献しているだろうと、美術館の中身としての議論は私はよくわからないけれども、少なくとも結果として、目的を達成する非常に有効な手段であったことは間違いなかったのではないか。今回はあえて除くという形になっていますが、これも美術館にとっては大事な要素ではないかと、目的がもし本当に横須賀市に来てもらうことであるならば、特別展だけでなく他の展示を観て「こういうのも有るんだね。」、またロケーションを見て「素晴らしい美術館だな。」という印象をもっていただけるのは、美術館にとって決してマイナスでは無いのではないか、もちろん特別企画展の中身次第というのはありますが、広い目で見れば含めて良いのかなと、今年の評価に含めて評価しましょうという話ではありませんが、次回以降こういった展覧会があるのなら、横須賀美術館の企画の一つである、その役割を担う主流ではないけれども、これも含めて評価してもいいのかなと、個人的な意見ですがそう思います。


?[黒岩委員]:逆の考え方なんですけど、12カ月間全てを美術館の企画展という前提で達成目標を掲げたのであれば、特別企画展の期間は除いて開催している期間で割り返した数値で目標を修正すれば達成したという考え方もできる。一緒に考えるのか、修正して達成したとするかの二つの考え方があると思うのですけれど。


?[小林委員長]:柏木委員の評価で、「館の経営・ミッション両面で、評価分析をするべき」とありますので、美術館としてのミッションという問題を含めてお話しをいただきたい。


?[柏木委員]:現在どこの公立美術館でも経営的なことは度外視できない状況にありますので、そこは当然踏まえなければいけない訳ですけれども、ここで掲げている目標が「美術を通じた交流を促進する」という事が大きなテーマとなってくるときに、館でやる特別企画展についても美術という観点でどう評価できるかを前提とすべきである。
その評価と、館の今後の経営の事、いわゆる集客率や地域の発展、賑わいに繋げるという方法としてどうであったかなど、両面でやらなければいけない。特別企画展については、横須賀市への文化的な観点での集客に繋がっていくかという分析は、今後も続けていかなければならない。
今回B評価としたのは、特別企画展が目標にとってプラスであったかマイナスであったかの議論もあるのですが、事務局から説明のあった「女性の情景展」が目標を大きく下回っている、60%台であったのは目標設定にかなり甘いところがあったと言わざるを得ない。やはり80~85%程度が目標に対して集客の合格ラインではないかと思いましたので、一次評価と同じ評価にさせていただきました。


?[小林委員長]:特別企画展がきちんと位置付けられていないと、評価が割れてしまうのだと思います。
ここまでお話し頂いた委員方とは全く違う視点で評価された方がおられましたら、ご意見ください。
では、一次評価Bで、皆様の評価もそれぞれBとなっておりますので、特別企画展に関する課題を残しておりますので、備考欄は付くと思いますが、二次評価はBという事でよろしいですか。


?[委員一同]:はい。


?[小林委員長]:では、実施目標の「広報、パブリシティ活動を通じて、市内外の広い層に美術館の魅力をアピールする。」に関して、一次評価A、皆様の評価も全てAとなっておりますが、ここで何か補足することがあれば発言してください。


?[事務局]:委員長の評価でご指摘いただきました「美術系雑誌の掲載件数が減少している」という件に関して調べましたので、ご報告させていただきます。
我々の訴求活動として対象を減らしたという様なことはございません。また、実際に掲載された雑誌につきましても、前年と雑誌の数はそれほど変わっていません。ただし、年間5回掲載されていたものが4回になった等の事実は、浮き彫りになっております。ご指摘いただいた通り、昨年度との比較で12件減っておりますが、それに関しては我々の方では如何ともし難いのかなと、そういった中で、多少なりとも工夫をしなければ先細りしていってしまいますので、今後リリースするときに、文の作り方、開けたときのインパクト、などに工夫の余地があるのかなと思いますので、来年度と云わず、これから行う展覧会のリリースから、作り方等に気を付けて取り組んでまいります。


?[小林委員長]:かなり努力されていると思います。私事ですが、今年、町内の役員をやらせていただいており、市の広報掲示板を見る機会が多いのですが、最近は美術館の情報がよく掲示されていると感じます。2~3年前の状況とは違うなと。
では、この項目に関しても、皆様Aとされておりますので、二次評価Aということでよろしいですか。


?[委員一同]:はい。


【目標②「市民に親しまれ、市民の交流、活動の拠点となる」について】


(事務局より説明)


[小林委員長]:小島委員のコメントで、「年齢の制約があるのか。高校生でも登録、一般参加が可能か。」とありますが、説明していただけますか。


[小島委員]:どの様な年齢、年代の方がご参加されているのか、頂いた一次評価書では読み取れず、自由参加型があると伺いましたので、お聞きしました。


[事務局]:ボランティア登録の年齢制限については、現在18才以上ということで下限を設けています。上限は設定しておりません。これは、自分の意思・判断で時間を作ることができ、その自分の時間でご参加いただくという考え方から、現在はそういった対応をさせていただいています。
一般参加については、イベント参加者やギャラリートークで話を聞いていただいた方を示していますが、これは当然どなたでもご参加いただけるものです。
また、どういった世代が担い手になっているかということですが、鑑賞サポートボランティアは50代~60代が中心であり、最近は若干数の大学生の参加が見受けられます。
プロジェクトボランティアについては、主婦層が中心となり、20代の方の参加も増え、継続的に企画にも参加していただいており、活力が生まれていると認識しています。


[小林委員長]:こちらの横須賀美術館では1,500人という数字ですが、全国的に見て公立美術館でのボランティアの動向というのはどうなのでしょうか。


[柏木委員]:ボランティアの取り組みも館によってまちまちでして、登録ボランティア制を採っている処も、その都度公募している処もあって一概には言えないのですが、横須賀美術館は相当頑張っていると評価しています。私の資料の読み取りが足りないのかも知れませんが、参加実数は勿論S評価なのですが、ボランティア参加された方々の満足度はどうなのか、どういう感想を持たれたのかが分かると、なお良いと思います。


[事務局]:ボランティアの方々の満足度につきましては、客観的な資料になり難いのですが、学芸チームと一体となって事業に取り組んでいますので、その中では満足度が高いと感じております。また、満足度が高くなければ辞めてしまうのではないかと思っております。


[小林委員長]:柏木委員の指摘は大事ですよ。課題全体が市民協働と謳っている中で、美術館へ来てボランティアをすることにより自分のニーズを高める、美術館の重要な応援団になっていただけるので。


[黒岩委員]:プロジェクトボランティアの一般参加者が1,116名ということで昨年の2倍になっている。GWの「キャンバスのトンネル」、夏休みの「飛ばそう!シャボン玉」など、自由参加という形を採ったために大勢の方に参加していただけた。
事前申込制もある程度予想ができて良い点もあるが、オープンな形にして、かつGWや夏休みに親子連れの方が野外で造形遊び的な活動を楽しめるということで、魅力を感じていると思う。是非、夏休み1回でなく2~3回企画していただきたい。広い芝生広場で親子連れがたくさん来て造形を楽しむ、今年度は無理でも来年度に向けて企画していただいて、たくさんの市民が交流できるようなことを、是非やっていただきたい。


[小林委員長]:黒岩委員は校長先生としての立場で、美術館の教育的なニーズを高めていただきたい、都会の中では美術館もたくさんありますが、横須賀市の中ではここしかないので、という願望も入っているのだと思いますが。
柏木委員の話にありましたように、ボランティアの育成等々を含めて、非常に努力されていると思いますが、二次評価、原田委員はAとしていますが何か根拠ございますか。


[原田委員]:うまく説明できないのですが、目標を充分に達成しているので良い評価に値するとは思うのですが、今後、数値だけではなく意味合いが大事になってくるのではと思っています。例えばギャラリートークをボランティアから聴いたときに、お客様がどういう風に感じるかなどを、細かくチェックしておかなくてはいけないのかなと。よその美術館でギャラリートークを脇で聞いていて、「不快だな」と言っている方がいて、確かにそういう面もあるなと感じて、数値だけが上がればスーパーというわけではないかなと。


[事務局]:仰るとおりだと思います。当館の鑑賞サポートボランティアのギャラリートークでも、日頃から作品の勉強をして、話し方の練習をしておりますので、聴いていただきたいという気持ちがある。そのため、お客様へのお声がけが過剰になるケースもあるとは聞いています。
お客様が喜ばれる範囲で引き続き、実施していきたいと考えています。


[原田委員]:数値的に目標は達成したけれども、場面としてはどうなんだろうと考えた時に、気になってAとさせていただきましたが、皆さんと気持ちはかわりません。


[小林委員長]:いろいろとご意見を伺って、原田委員だけ評価が違いましたけれど、全体としてはSということでよろしいですか。


[委員一同]:はい。


[小林委員長]:では、達成目標の二次評価はSとさせていただきます。
では、次に実施目標についてですが、菊池委員が非常に良い評価をしていただいておりますが、そのへんの根拠をお話しいただければと思います。


[菊池委員]:ボランティアについては、原田委員が述べた様に多ければ多いほど良いというものではなく、多ければ多いなりに管理、監督、運営を多くの方々がきちっとしていかないといけない部分が出てくるので、もうこれが非常にいい線なのではないか、これ以上のものは多分運営できなくなってしまい、お客様に対するケアがうまくいかなくなったりする部分がでてくるのではと思います。
特にこの項に関しては、実施目標と達成目標が非常に近い性質を持っている、いわゆる関連性があるのかなという気がしている。そういった中で、実施された中身を見てみると、非常にいろんな形のケアが、言い換えれば非常に気持ちを込めて学芸員の方々が企画されていろいろやられているんじゃないかと思うんです。それが非常に伝わってきたものですから。そのため、要するに実施目標と達成目標が同じくらいの評価、これはもうリンクしているのかなと思ったのです。
ボランティアの方々も、来ることによって自分も必要としていた情報だとか知識だとかが受けられるというのが、一つの還元メニューにつながっていくかもしれないのですが、もう少し違った、来て良かったと思えるような、満足度じゃないんですけど、そういったものを得られるような何か工夫があれば更に定着するのかなと。登録ボランティアも限界があると思いますので、そういった中で固定化を今後どう防いでいくか、マンネリ化しないような演出をどうやっていくのか、これはこれからの課題として頂いて、現状が一番ベストな形、数と質を回せることかなと思って両方ともS評価としました。


[柏木委員]:この美術館のスタッフと規模でできる、ボランティア活動の質と内容、それから量的な部分で、担保できるぎりぎりのところが現状だと思います。
また、前の広場を使った事前公募しないワークショップ事業など、かなり運営が大変だと思います。ボランティアの方のケアもさることながら、来られる方々のケア、事前申込み制でなければクレーム対応も相当出てくると思います。
そういったことを考えると、非常に内容的には良いことをやっているけれども、多分ぎりぎりの、質を落さないで、事故を起こさないでやるぎりぎりのラインでやっていることだと思うので、達成目標の評価はSといたしました。
菊池委員が述べた通り、実施目標と達成目標が確かにリンクする事柄であると思いますので、限りなくSに近いA評価という感じです。


[小林委員長]:今、柏木委員から「限りなくSに近いA」とありましたが、評価はAになるとは思いますが、ここは限りなくSに近いということでよろしいですか。


[菊池委員]:私もそれで結構です。柏木委員の言われたようなことを、どこかに補足しておいていただければ良いと思います。ここが限界点という中で精一杯やっている、身の丈に合った充分なボランティア活動をやっていると思います。


[小林委員長]:コメントに書いておいてください。Aだけども限りなくSに近い、そして現実の問題も含めて補足しておくという形で。


【目標③「調査研究の成果を活かし、利用者の知的欲求を満たす」について】


(事務局より説明)


[小林委員長]:柏木委員のコメントに「アンケートによる満足度の算出方法を明示されるべき」とありますが、この点どうですか。実際に他の美術館では算出方法など具体的な形でわかるよう提示されているのですか。


[柏木委員]:アンケートの作り方によって、回答の数値が変わってくると言われていて、例えば、「満足する」という回答項目を右側に置くのか左側に置くのかだけでも統計学的に大きく変わってくるらしいのです。評価する際に、どのような考え方でアンケートの設問が設定されていて、それがどのように数値化されているのかが示されるべきで。この参考資料集に結果が一覧で載っているので、よく分析すれば、それが見えてくるのかも知れませんので、単に私の読みが足りないのかも知れませんが。
一次評価の10ページに「企画展満足度を算出する際には、それぞれの企画展の観覧者数の比率を反映させています。」と書いてあるのですが、こちらも少し意味が分からなかったのですが、それらを含めてどういう算出でこのような数字が出ているのかなと。私も館でアンケートの集計を担当しているわけではないので、館のそういった話はできないのですが、こちらではどういう風になされているのかなと。


[事務局]:ただいま2点ほどご指摘がございましたので、まず参考資料として当館のアンケート用紙、及び評価データ計算表の2枚をお配りさせていただきます。


[事務局]:お配りした内の1枚はアンケート用紙で、現在開催中の「街の記憶」展で館内設置しているものです。また、もう1枚は「評価データ計算書」で、手元資料というか手控え用の資料ですので、見づらいとは思いますがご理解ください。
アンケート用紙ではまず、5段階評価でお答えくださいと最初にお願いしておりまして、ご指摘いただきました「企画展の満足度」を計るうえで使用する基本データは、設問1-(6)「全体的に見て満足できる展覧会である。」の回答データを使用しています。
満足度自体は、ご回答いただいた方の内、5と4に○を付けていただいた方の割合を採っており、企画展ごとに会期中に回収したアンケートを集計し、その割合を出しております。
実例を挙げますと、「国吉康雄展」の期間中にご回答いただいた方が237名、その内5と回答いただいた方が114名、4と回答いただいた方が77名です。この場合、企画展満足度は80.6%となり、それぞれの展覧会について、その都度、算出しております。ただし、アンケートの回答者数は、もちろん各展覧会ごとにばらつきがあり、また、観覧者数の割合とも必ずしも比例している訳でもありません。よって、観覧者数と回答者数の割合に、先に算出した満足度を乗じて補正する形で、その企画展に対する満足度を算出しております。


[小林委員長]:いろいろな議論が出たということは非常に重要なことですので、今後どういう風にアンケート等々に活かしていくか、という一つ課題としてあるのかなと思います。
菊池委員からは「最も手応えを感じる目標値ではないか」とのコメントがありますが。


[菊池委員]:やはり企画展は、学芸員の方々が一番力を入れて、自分の思いだとかいろんなものが入ったものに対して、お客さんがどれだけ反応していただけるのかと、一番気になるところだと思うんです。そういった意味で、手応えを感じる数値だろうと。それを一番よく分かっているのがご自身達でしょうから、自分たちの本来の目標である90%超に向かって精進願いたいという意味です。
一次評価をAとしたということは、学芸員の方々の24年度の評価は、自分たちの手応えとしてAだったという風に感じられているんだなという推測がなされます。
ただ、この項目も実施目標とリンクするので、数字的な把握というのは本当に水物でもありますし、実質的にお客様がどう感じたか、ということが重要と思いますので、やはり何らかの聴き取り、いわゆるヒアリングが必要と感じます。ご自身達でできないのであれば、学生ボランティアとか何らかの方策を練って、企画展を観られた方々に負担にならない程度に、少しお話しを聞くくらいの補足があれば、なお精度を上げられるのかなと思いました。


[小林委員長]:全体的に見て評価委員の皆様もAとされておりますので、二次評価はAでよろしいでしょうか。満足度算出方法とか諸々の点は、これから精度を上げていくための一つの課題ということで認識いただければよろしいと思います。
次に実施目標についてですが、黒岩委員、コメントを説明いただけますか。


[黒岩委員]:年間6本の企画展ですが、内容に応じて、ストラスブール展では音声ガイドを用意するなど、そのときどきに応じて大変工夫されていて、鑑賞する人の知的好奇心を満足させるような工夫もされているので、目標を達成されたということでA評価とさせていただきました。


[小林委員長]:ありがとうございました。では、一次評価について問題が無いようですので、二次評価もAとさせてよろしいですか。


?[委員一同]:はい。

【目標④「学校と連携し、子どもたちへの美術館教育を推進する」について】


(事務局より説明)


[小林委員長]:では、S評価していただいている菊池委員、コメントいただけますか。


[菊池委員]:前年S評価を一次評価でAに下げた理由は、恐らく前年22,000人超が19,000人になったという事が大きな原因ということだと思います。けれども19,000人という結果は決して低くはない数字で、実績が下がったから評価を下げる、というのは余り良くないと思うんですよ。それをやると、22,000人達成したら次は23,000人達成しなければS評価がもらえない。そういう評価は本当につらくなってきますから。
またもう一つは、24年度から色々な形で外に出て行ったり、美術館の理解を外にも広めようとか、新たな処に足を踏み入れてさらに、という努力が非常に見えた、感じられたんですね。
プラス、先ほどの特別企画展の話ですけど、入館者数はカウントして良いけれど中身は吟味する必要がある、というのがこれですよね。確実に影響があったわけだから、2カ月間は、独自の運営をやろうと思ってもできない状況にあった、厳然たる事実なわけです、その分はハンデになる。実質10カ月間でこれだけの実績を残している。わざわざSをAに下げる必要は無いのではないかなと。Sに値するくらいの色々な努力もしているし、数字的な部分も前年から下がっているという点もきちんと分析できているし、理由もある、ということでS評価にしました。


[小林委員長]:学校連携については、黒岩委員が関心をお持ちと思いますので、何か発言いただけますか。


[黒岩委員]:鑑賞教室やワークショップなど、様々なプログラムを工夫していただいて、美術館にはよくやっていただいているなと思っています。ただ、この項目に関しては、まだ伸び代があると思っております。
例えば、参考資料の6、7ページを見ていただけると分かると思うのですが、チラシを学校に配布することで、チラシを見た子どもたちが本当に美術館に行く様になっています。平成19年度から24年度を見てみると、10代以下の来館者数が右肩上がりで増えています。
そういった中で、確かに目標は達成しているけれども、昨年に較べると少し減っているという部分は、夏のストラスブール展で入場者数は増えているけれども、多分、子どもたちの数字が減っているというのが原因かなと。それと児童生徒造形作品展も少し減っております。これは多分、週末に1回雪が降ったためだと、あの日は本当にがらがらでしたので、これもちょっと天気が影響している。まだまだ子どもたちは、本当に興味をもって美術館に足を運んでくれると思います。
これからの事としては、今年もお願いしている部分ですが双方向のつながりで。
学校の方にも出前授業で来ていただくという形もあります、という事と、子どもたちへの美術館教育を充実させるためには、やはり教師への研修というのは非常に必要なんです。今年度は夏休みに2回教師向けの研修会も設定していただいておりますが、まだまだ子どもたち、それから教師と広げるところが充分にあるので、今回は私もA評価をしましたけれど、一昨年の22,000人を更に、来年度に向けてもっと充実していければと思いますので、学校と美術館と連携して更に深めて行けたら良いなと思っています。


[小林委員長]:横須賀の小中学校で、美術館を活用している学校というのは、この周辺の学校だけですか。例えば横須賀北部の追浜中学校などの学校も出てきて、美術館を活用していますか。


[事務局]:まず小学校に関して申し上げますと、小学校6年生については全市内の6年生が必ず学校単位で来館するという事が、交通手段の予算化という部分も含めて実施ができております。
中学校に関しては、学校単位でなく任意の参加になっておりますので、しっかりとした統計が取れている訳ではありませんが、夏休みの「中学生のための鑑賞教室」などの実績を見ますと、ある程度エリアとしては市全域にわたっているかなという気がする一方で、やはり中学生にとっては先生方の声がけの力が非常に大きいので、先生が声をかけてくださると遠くてもお越しいただけるし、先生との繋がりが余り持てていないと、近い学校でもなかなかお越しいただけない、というのが実状であります。特に遠いからお越しいただけないとか、近い遠いと余り関係の無い来館状況が作れているとは思います。


[小林委員長]:やはり横須賀の場合、東京方面へわざわざ出て行って美術を鑑賞しなければならないという問題が、理屈的にはかなり大変であると思う。
せっかく横須賀に立派な美術館があって、もちろん一般の企画展示というのは美術館ですから必要ですが、美術館が教育委員会の中に位置付けられているならば、もう少し子どもたちの教育の場、いわゆる心の福祉みたいなものが、鑑賞して育てられていくと思いますので、是非よろしくお願いしたい。
柏木委員の、「美術館の本来のミッションと来訪者誘致の在り方を再確認すべきかと思われます」という辺りを、少しコメント願えますか。


[柏木委員]:コレクションの展示が2カ月間なかったことに対する学校関係者からのご指摘だったのだろうと思いますが、美術館の核になるのはやはりコレクションであり、そのコレクションを見せないというのは相当厳しい選択だと思う。館の活動として、コレクションを見せないという選択をすることによって得られるメリットをよく量って活動の選択をされるべき。
これは横須賀市の方針でなされていることなので、単独で、1館で結論を得たり、あるいは方向修正をしたりできないとは思いますが、美術館のコレクションが活動の核であり、それを見せるのが当たり前であって、見せないという選択をすることは相当重い選択であることを、館のミッションから考えたときに、認識すべきということが一つと、経済部主導の事業の予算組みであるとか、例えばこの館を使うことによって当然かかるランニングコストがあるわけですけれども、そういったものが館の持ち出しになっているという現状があって、逆に収益は全て主催者が持っていく、という収支構造であるならば、そこは当然見直すべきであるし、そういう経営的な負担と、その館のミッションのうえでの影響、そういったことをよくよく考えて、訴えるべきところには訴えるべきではないかと思いました。


[小林委員長]:菊池委員はSと評価しているようですが。


[菊池委員]:2カ月間できなかったという事を斟酌しなければいけない。10カ月間でこれだけのことをやっているという事を評価してあげないと。
仮に特別企画展開催期間に、子どもたちへ何らかのアプローチができていたのではと考えると。ここに来ても企画展しか無い訳ですから、絶対的にできない。子どもたちに声をかけて来てもらおうと思っても意味もない。そこは除いて、きちんと評価をしてあげないといけない。
そういった意味で3,000人減っても、その部分があれば目標に届いたのかも知れない。努力する中で、2カ月間は非常に長い期間ですから。
学芸員の方々が、今の我々の意見を聞いて、どの様に思うか聞いてみたい。この2カ月間に対して、良い悪いは別として、その2カ月間があったならば、子どもたちにどういうアプローチができたのかなと。
一次評価には理由しか書いていない、特別企画展によって学校団体から指摘を受けてしまったという事しか書いてないので、2カ月間普通にできていたらどうだったのか、是非聞きたい。


[事務局]:学芸員である私ども、現場に立つ立場ですので、あくまでも現場の状況に応じて最大限努力するのみ、現場を守るのみです。
実際にこの期間中、切り離された状態で、企画展示室なり谷内六郎館なりはやっておりましたので、その中で最大限の努力をしました。
特に中学生以下の観覧者数という視点から申しますと、特別企画展の会期中でも、「国吉康雄展」の中で親子向けのツアーを実施し、子供向けの鑑賞ガイドも実施したと、ただし「国吉康雄展」の中でも教育普及活動はラルク展が始まる前までに全て終わらせる、というような形で、なるべく影響を与えない形で、前倒しで全て行なって、余り相互干渉しないように努力した、現場としては最大限やったと思います。


[菊池委員]:そこがもし無ければ、通常通りの年度であれば、それなりにまた違った努力もしていたという事になるわけですよね。


[事務局]:そう言えるかも知れません。


[菊池委員]:そこが問題なんですよ。結局、2カ月間が確実に欠落しているわけですから。2カ月間あれば何かができている。全部そのせいにしてはいけないとは思いますが、22,000人から19,000人に減ったとしても、少なくとも平年の形でプログラムを組んだと仮定すれば、十分評価に値すると思います。


[事務局]:中学生の年間観覧者数について、23年度S評価を、二次評価としても頂きました。この年は、小学生、中学生や家族連れにアピールするような展覧会を、もったいないくらい一度に開催しました。「トリック&ユーモア展」、「おもしろどうぶつ展」を開催した年度です。ですので、飛躍的に小中学生の観覧者数が伸びたのは、企画展の内容の効果によるところが大きいと思います。
私どもが24年度A評価としているのは、23年度に較べると少し数字的に減りましたけれども、それ以前から比較すると漸増の傾向がありますし、それなりの色々な努力をした結果だと思っている、という意味でA評価にしています。
ですので、24年度の環境の問題も多少あると思いますが、私たちで用意しているコンテンツの問題でもあろうかと思います。
今後また、皆様のご期待に沿えるような形で努力してまいりたいと思います。
後でまたお話しをする予定ですが、平成25年度の事業計画書の中では、達成目標18,500人のところ、上方修正して20,000人にしています。
19,000なり22,000人を達成したことがあるのだから20,000人を目標にしていこうということで、今後も色々工夫をしてまいりたいと思っています。


[黒岩委員]:学校として特別企画展で一番困るのが、子どもを連れていっても絵がないこと。この1カ月間は6年生が鑑賞に行きたいと言っても、「悪いけど行っても無いから」と、「時期をずらしなさい」と、1カ月の空白が有るわけで、そういう意味では時期的に難しいところがあることが、一番困るところです。切実な問題として。


[小林委員長]:先ほど柏木委員が発言された、美術館のミッションとは、使命とは一体なんだろうか、というようなことは、公立のハコモノはすぐに批判を受ける中で、非常に重要な問題を提起してくるのではないかと思う。その辺の事を、横須賀市全体の状況の中で美術館側から言うのは厳しい状況にあると思いますので、この評価委員会など第三者委員会がきちんと踏まえて、捉えてあげることによって、良い形でのミッションの履行になるのであれば良いと思います。
努力しているAということで、よろしいでしょうか。
次のところも、書かれていることが皆さん同じような事ですので、特に問題は無いと思いますが、小島委員のコメントに「学校を通じ子ども達に美術館来訪についての感想文を書いてもらい」とありますので、一言いただけますか。


[小島委員]:前に戻りますが、達成目標に関しての補足意見があります。
私の二次評価の記載の背景には、児童とか生徒の中には美術に興味がなくても学校行事として来館する子どもたちがいて、作品を鑑賞しても知的好奇心が湧かない場合もあるのではないかなと思い、中学とか高校生も含めて美術部員は確実に美術に関心があるので、そういう生徒達にじっくり鑑賞の場を提供する方が効果的ではないかなと思っています。ただ連れてこられても、児童や幼児の中には理解できない子たちもいます。人数だけに囚われるのはどうかなと思います。


[小林委員長]:現実に先生方はどのように受け止められているのでしょうか。


[黒岩委員]:6年生は必ず美術館に連れてきていただいており、事前に美術館についての学習をして鑑賞に来ておりますので、当然ただ遊びに来ているわけではなく、授業の一環として来ています。子ども達が自分で見て、良いと思った絵や作品について、美術館もしくは学校で用意したワークシートにきちんと記入して、学校に帰ってきて、それについて子ども達がどれだけ学習として成果を上げられたか、というところは評価もしていますので、そういう部分では充分に学習としてやっております。
ただし、先生方も全てが美術館のことについて知っているわけではないですし、美術の専門ではありませんので、美術館とはどういう所か、どういう鑑賞をさせたらよいのか、教師に対する研修の機会も欲しい、ということで美術館にお願いをして、今年度は夏に2回、教師に対する研修会をやっていただく、ということも含めてやっています。
子ども達は、来ることでたくさんの事を学んで帰っていきます。そういう面で、学校で印刷物を見るのとは違って、実物に出会えるということに大きな意味があると思っております。


[小林委員長]:先ほどの達成目標を含めまして、頑張っているAということでよろしいでしょうか。


[委員一同]:はい。


[小林委員長]:かなり時間が経ちましたので、5分程度、休憩を取りたいと思います。


(休憩)


[小林委員長]:議事を再開します。では続いてご説明ください。


【目標⑤「所蔵作品を充実させ、適切に管理する」について】


(事務局より説明)


[小林委員長]:ここはたいへんな難しい問題があって、一次評価はCとなっているし、菊池委員、久保委員はFとされている。柏木委員もある意味ではFという部分があると指摘されていて、ご意見が分かれている。
一般論として、美術館に寄贈したいという人は多くいて、横須賀美術館にも話はあるのでしょうけれども、横須賀美術館がどのような美術館にしていくかを考えたとき、予算をもって作品を購入していかないとなかなか全体像が見えない。寄贈者のご厚意に甘えてしまってばかりだとコストばかりがかかって、しかも美術館としての方向性を見失うような苦しい状況になりかねない。横須賀市の政策的な課題もあると思われるところだが、まずは菊池委員からFになった根拠をお話していただければ。


[菊池委員]:F(判定不能)を加えてもらったのは、この項目があるから。やはり専門的な知識が必要だと思うので、私自身は評価を加えられない。


[久保委員]:目標自体は、「所蔵作品を充実させ」という主体的、能動的な行動であるはずが、結果としては受動的であるのが現状。集めたいけど集められない。けれど、なんとかいただきました、という状態では、作品を充実させたいという本来の目的を満足させるような行動ができない、意志が働かない、ということだろうと考え判定不能としました。


[小林委員長]:柏木委員にお尋ねしますが、横浜美術館では最近市長さんが代わったことによって、ずいぶん内容も変わってきたようですが、収集については?


[柏木委員]:横浜美術館の場合は、文化基金を切り崩して購入する形。単年度ごとに市費から予算要求しているわけではないので、一概に比較はできない。しかし、いずれにしろそれも底を尽きかけている状態です。
ここに関して言うと、達成目標は「なし」となっていますが、収蔵品の管理という意味でいえば、環境調査を必ず2回やることなどは数値的な意味での達成目標にはなりうるのでは、という気がいたします。
収集については、横須賀美術館の所蔵品はたぶん、横須賀市のものだと思いますが、それに対してどういう予算措置をするかということは、多分に横須賀市の問題になってきますので、美術館単独でどうこうできるものではない。その意味では、購入案件に関しては判断できない、というのが実際のところであろうと思いますけれども、あえて、そこをなんとかしてくださいよ、という意味も込めて、私としてはあえてCを付けました。
なぜかといいますと、寄贈についても寄託についても、すべて受け入れるわけではなくて、館の収集方針に沿って受け入れていくわけですが、こと購入に関しては、これが全くなされないと、まず情報が集まってこなくなる。そうすると、将来的に財源が確保されたときに、適切な収集活動ができなくなる。高価なものでなくても、館にとって重要な美術作品や資料というのはあると思います。わずかでもいいから予算を措置して、購入によって継続的に収集できるようにしてほしい、という意味を込めて、Cという評価にしました。


[小林委員長]:どうでしょう、一次評価はCとなっているわけですが。委員の中には、評価すること自体へのとまどいもある。市議会のやり取りを見ても、横須賀の場合は美術館の予算の話がいつも表面に出ていますが、将来的には、そんな莫大な予算じゃなくても、美術館として主体的に補充できるような状態にしていくことが望ましい。そうすると、一次評価はCですけれども、このままCでよろしいのか、それともなにか他に評価のしかたがあるでしょうか?評価委員会が、理念のうえから厳しい評価をしてしまって、こんどはここに携わっていく人たちがやりにくくなるのでは困りますが。


[事務局]:よろしいでしょうか。毎回、結果として同じような状況になってしまって、心苦しく思っております。まず(収集・管理は)美術館の基本活動のひとつであり、不可欠のものとして項目に加えております。次に、収集につきましては、(予算要求を継続すべきとの)ご意見をいただきましたので、いろいろ考えたうえで24年度予算に計上したけれども、市全体の考え方の中で、査定の結果、配当されなかったことは残念ととらえております。
購入していくことが大事ということはじゅうぶん認識しているので、予算がつかなかったから終わり、ではなくて、では財源はどうしていくのかも含め、今後プラス思考で考えていきます。厳しいご指摘、判定不能というご意見も含めて記録し、また、中身についても理由を明記することが、広く情報を知っていただいたうえでの判断につながると思います。そういう視点での評価をいただければありがたい。


[小林委員長]:そうすると、一つの評価のあり方として、Cとする。ただ、柏木委員が専門家として客観的に見て、例えば美術品の購入が途絶えると、優れた美術品の情報が集まらない、というご指摘を受けました。こうしたことを、コメントとして残るように記録していただきたい。そうすると、Cという絶対的な評価ではなくて、美術館のあるべき姿を皆さんに訴えることに繋がるのではないでしょうか。それでよろしいですか?


[委員一同]:はい。


【目標⑥「利用者にとって心地よい空間、サービスを提供する」について】


(事務局より説明)


[小林委員長]:館内アメニティ満足度90%以上という目標は、館内全体が素晴らしいからこそ出てくるのだと思います。それからスタッフ対応の満足度80%というのも、個人的にはすごく良いように思いますが、すごく遠慮されているのではないでしょうか。
皆さん一次評価と同じBになっているところ、菊池委員は達成目標と実施目標を連動させた形で具体的に書いておられますので、コメントをいただきたいのですが。


[菊池委員]:ここはどうしても厳しくなってしまうのですが、達成目標ではそのままBにしてはいますけれども、基本的な部分にも関わらず、特別企画展の影響などが評価の理由に加えられているというのがどうも気になって。集客施設であれば、多かろうが少なかろうが、来たお客様には対応する、ということが前提にならないと、サービスするなんてありえなくなってしまう。想定以上のお客様がきたら困る、というのが基本的な考え方だとすると、やはりまずいという気がする。そういうことがあって、実施目標ではCにしています。
ハード面は、予算的な要素もあり、そう簡単には取り替えられないかもしれないが、スタッフの対応は、常にそれぞれが心がけるような対応をしていれば、すぐに向上するのではないか。毎月毎月やるということが必要なのですが、基本的なベースとしてそれぞれがおもてなしの心をもって、悪いところはその都度直すという基本的な部分があれば、できるのではないか。
もう一つ、実施目標についてCとした理由は、来館者の満足度というもの、スタッフ対応だとか検証すべき根拠が、どうしても主催者側の判断が強いと思ったからです。実際にお客様が良いと感じているのならば良いのですが。そこの検証方法をどのようにされているのか。この事については毎回のように厳しく指摘しているが、事務局の対応はほとんど変わっていない。
アンケート項目の問題も、まだ改善されていない。この件については、3年越しくらいで、他の美術館を参考にしてはと提言しているのですが、たぶんほとんど変わっていない。


[小林委員長]:柏木委員が指摘されているように、イベントなどで来館者が増えた時には、それなりの人員が対応しなければならないし、そのための予算措置も必要ですよね。常にもてなしの心を培うということは大事だが、それはそれとして、予算も問題になってくる。
そこで思い返されるのは、観音崎京急ホテルは、交通の便が悪いわりには、京急グループの中でも、お客様を集めているし、なかなか立派なサービスをしている。そのあたりのことを、ぜひ久保委員から伺いたい。


[久保委員]:皆様にお伝えするほどの内容ではありませんが。正直、サービスの質を維持したり向上させるというのはものすごく大変です。お客様はそういう場にそれなりに期待していらっしゃるわけですが、ご期待に見合うものを提供できているかどうかというと、まあ本当に永遠の課題だと思います。もちろん、満足していただけるお客様を一人でも増やすというのが、会社の目標ではあるのですが、全員がそのレベルに達するというのは非常に難しいし、人の入れ替わりもありますし。努力する目標というのが、みんなが満足してもらえるまで繰り返しやるしかない。とにかく継続的にやって、スタッフの意識の中にどれだけ入れられるか、というのが一つの課題だと思います。私たちも取り組んでいますが、なかなか難しいです。自分も含めてですが、人間はみんな弱いものですから、言い訳したくなる。それを誰かが見て正していく。
もう一つはやはり、クレームをいただいたときにどう改善するか、というロールプレイングだと思っています。たとえばアンケートのなかでネガティブな意見が出たら、なぜ出たんだろう、どういうことだろう、と確認したうえで、じゃあ次どうする?ということを繰り返しやっていくしかない、と思っています。その結果がこういう数値にあらわれるのだとしたら、関連する項目に具体的に触れたアンケート項目を拾っていくのが一つの方法だと思います。現状でも多少触れていますけれど、アメニティに関連した項目を加えると、ちょっと嫌な意見も出てくるかもしれませんけれども、それが一つの向上に向けての施策だと思います。
それを継続して、みんなで共有をして高めていくのが、非常に長い道のりだと思いますが、一つの手法だと思います。


[小林委員長]:主催者側の判断だけではなくて、客観的にどう効果測定するかが重要ですが、基本的にはもてなしの心を培う。既にものすごく努力されていると思いますが、より来館者に高いアメニティが提供できるような方法を取り入れられると良い。委員の方からいただいたお話もコメントに加えていただくということで、全体としての二次評価は達成目標B、実施目標Bということでよろしいですか?


[委員一同]:はい。


【目標⑦「すべての人にとって利用しやすい環境を整える」について】


(事務局より説明)


[小林委員長]:まず達成目標では、久保委員からのB評価があり、参加者数が毎年安定しているということを考えると、増減で評価を左右されるべきではない、ということ。あとの方は一次評価がCになっていますので、多数がCということになりますが、これは一次評価通りでいいでしょうか?なにか特別にご意見ございませんか?


[菊池委員]:現段階で一次評価をCとしているのは、理解できない部分があったからです。結果と数値目標に大きな差異が生まれた理由が、計画段階での課題だったのか、単純に平均値を設けたということが安易だったのか、もしくは、やったんだけれども結果として成果があがらなかったのか、ここが重要なポイントではないかと思って、とりあえずCにしたのですが。


[事務局]:少し補足させてください。菊池委員のご指摘ごもっともです。個人的な意見として、この達成目標は高すぎたと思います。これには経緯があって、22年度の実績が539人ととても多く、これよりも余り低い目標はあげられない状況でした。そのため23年度の目標を400人としたところ、震災のためコンサートが中止になってしまい、結果C評価になっているという流れがありました。それで、24年度の評価では、23年度を参照して400人という、やや上向きの目標を提示してしまったのですけれども、実際の事業規模からみれば元々無理があったと思います。そもそも福祉関連事業は定員のあるものがほとんどであり、コンサートなど自由参加の行事でたくさん集められないと、容易に目標を下回ってしまうような設定でした。
実は、25年度の事業計画書については、それぞれの事業の定員や自由参加の事業では、努力すれば達成できそうな数を積算し、280人という数に下方修正をしています。ただし、24年度の評価については、もともと宣言した数値目標を達成できなかったことは確かですので、一次評価はCになっております。


[菊池委員]:それならば、Cでいいと思います。ただ、今のべられたような率直な理由は明記しておく必要がある。大幅に達成できなかったから次年度の目標を下げた、と短絡的な理解につながらないように。


[小林委員長]:では、そのようなコメントを入れたうえで、達成目標については、一次評価と同じCでよろしいですね。次の実施目標についてはどうでしょう。これはAだけどもBの感じがする、という意味でAなのでしょうか?コメントはやはり必要になると思いますが。


[菊池委員]:これは絶対必要だと思います。というのは、達成目標と実施目標の間で、自己評価に2段階の差が出るということが大体あり得ないですよね。なんで一生懸命やっているのに評価がCになっているのか。普通なら努力が結果に反映されるだろう。何かがおかしい、ということになる。それで、量は伸びなかったけど、質としてはじゅうぶん充実していた、という意味?、と疑問文になってしまった。これもやはり、先ほどと同じように、達成目標の立て方がよくないという部分が関係していたんですね。ただ、障害者と健常者がともに楽しめる場を演出する努力については、僕は非常に評価していますので。目標設定の齟齬が評価に影響している部分はあります。


[小林委員長]:久保委員のご意見にもそういうことが含まれている?


[久保委員]:先ほどの達成目標と併せて申しますが、年間を通しての取り組みがたった一日の出来事で左右されてしまう。量と質の問題について、量だけ見ればCだが質を見ればA、というのは、一つの事を全く違う二つの基準で評価していいのか。何か納得できない感じがします。もう一つは、年齢、障害の有無にかかわらず親しんでもらう、という部分がはっきり見えてこなかった、ということがあって一応Bとしました。


[小林委員長]:確かに、達成目標と実施目標には僕もCとAをつけているのだけれども、対話鑑賞や人的サポートの導入など、個々の取り組みについて見ると、努力はかなりしているということがわかる。黒岩委員のコメントも、そういう努力を認めておられる。しかし、菊池委員、久保委員のお話も踏まえて、どのように評価をしたらいいのかお話しいただきたい。


[菊池委員]:私はそこがわからなかっただけなので、Cだというはっきりした理由さえあれば、CとAの誤差についての疑問は解消できます。達成目標のCに引っ張られた部分があってBにしているわけです。ただ、評価はしてますから。切り離してここはAに属するということなら、私はBですけれどもAにしてもらっても構わない。


[小林委員長]:今後も、評価していくときに、目標は達成しないけれどもプロセスの努