コレクション

小出楢重
「前向きの裸女」


1930年 油彩・画布 63.5×94.0cm
唐草模様や幾何学模様の布で装飾された部屋の中で、ひとりの女性が堂々とした裸体を横たえています。西洋の古典的規範からは外れた日本人モデルの体型、黄褐色の肌の美しさを讃えるように描いた独特の裸婦は、静物とならんで、小出楢重にとって代表的な画題として知られています。しかし、裸婦を追究するようになったのは意外に遅く、1921年に訪ねたフランスから帰国した後のこと。ちょうどアンリ・マチスが、東洋風に装飾された室内の裸婦「オダリスク」を描いていた頃でした。小出はマチスと似たモチーフを選ぶことで、むしろ対抗的に、小出ならではの濃厚な味、自らの信じる美意識を表現して見せようとしたのかもしれません。

小出楢重 1887-1931
1887年大阪府に生まれる。
1907年東京美術学校日本画科に入学。のちに西洋科に移る。
1919年二科展に出品した《Nの家族》により樗牛賞を受ける。
1920年二科展に出品した《少女於梅之像》が二科賞を受賞し、二科会会友となる。
1921年フランスにわたるが、半年あまりで帰国。
1923年二科会会員となる。
1924年鍋井克之、国枝金三らと信濃橋洋画研究所(のち中之島洋画研究所)を設立。
1926年芦屋に洋風のアトリエを建て、裸婦を盛んに描くようになる。
1931年兵庫県の自宅で死去。