横須賀美術館 YOKOSUKA MUSEUM OF ART
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展 「子どもの遊び」

 

このたび、谷内六郎館では<週刊新潮 表紙絵>展を開催いたします。
1956(昭和31)年、『週刊新潮』の創刊号より表紙絵を描いた谷内六郎は、四季の表情を織り交ぜながら素朴でやさしい世界を映し出した画家でした。決して長くはなかった生涯のうち、ライフワークとして26年間描き続けた表紙絵の数は1,336点にものぼります。今回はそのなかから“子どもの遊び”に関連する作品50点を選び出しました。

谷内は、絵の空間にさりげなく子どもを登場させています。それは、ひとり遊びのなかで小さな発見に驚く姿であったり、友達にちょっかいをだそうとする姿であったり…。小さなころの私たちが見ていた世界は、絵に添えられた谷内自身の言葉を通しても様々な記憶を引き出していきます。こうした谷内の子どもへのあたたかな眼差しは、達子夫人が次のように回想するように、実生活でも愛情に満ちたものでした。

決して子供を叱らない人でしたね。トイレの扉の小さなガラス窓を、子供たちが喧嘩して壊してしまった時のことです。私が怒ってぶとうとすると、「ママちょっと待って」と間に割って入り、子供が使っているプラスティックの下敷にパッパッと絵具で色を着けて、真ん中だけ星の形に塗り残します。割れたガラスの代わりに窓にはめて電気を点ければ、きれいな星型に光りますよね。「さあこれでいい」と自分が怒らないだけではなく私にも叱らせないんです。(『芸術新潮』2001年5月号)

自分の2人の子どもたちだけでなく、近所の子どもに対しても分け隔てなく接し、子どもと遊びながらアイデアを得ることも多かったそうです。こうした子どもへの眼差しは、晩年になると、呉市広中央中学校養護学級(現・たけのこ村)や、女優・宮城まり子が主宰する「ねむの木学園」との交流へと繋がっていきました。少年時代から持病の喘息に苦しんだ谷内にとって、無垢でのびやかな子どもたちの姿は自分の姿と重なったのでしょう。谷内は自分と子どもとの関係について次のように述べています。

ぼくはね、体が弱かったんですよ、子供の頃から……。ぼく自身が養護学園へ行かねばならなぬような子供時代を体験してまして……同じような子供の一人でも助けられるということの方が、コトバよりもペンよりも何より大切なことだと思っているんです。(中略)ぼくは、ただ子供たちに何かを定着させたい。他に望むことは何もない。多少なりとも子供たちに生きる手だてを定着させていきたいという気がするんです。(「ぼくと子供たち」『面白半分』1976年)

子どもの姿を見つめ続けた谷内は、1975(昭和50)年、ここ観音崎にアトリエを構え数々の作品を残しました。谷内にとって、この地は大切な場所のひとつです。房総半島を遠くに望むのどかな環境のなか、野山を散歩し、鳥のさえずりに耳を傾けながら過ごした観音崎での時間は、『週刊新潮』の表紙絵として、多くの人々の手に届けられました。
懐かしい記憶がよみがえる方も、初めて谷内の作品に出会われた方も、絵の向こうにある谷内の声に耳を傾け、心に残る1点を見つけていただければ幸いです。


期間 2012年12月22日(土)~2013年4月14日(日)
※4月14日まで期間延長します。
 → 開館時間についてはスケジュールをご覧下さい
休館日 2012年12月29日(土)~2013年1月3日(木)、
1月7日(月)、2月4日(月)、4月1日(月)
観覧料 一般300円/高大生・65歳以上200円/中学生以下無料
  *所蔵品展も観覧できます。
  *団体料金など詳細は利用案内の「観覧料」をご覧ください
→ 出品目録